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自由国民新聞13号 2022(令和4)年8月20日発行

安倍元首相のレガシーを継承せよ

日本人よ、「大和心」をとり戻せ

 安倍元首相が7月8日に凶弾に倒れ、亡くなって8月25日に49日を迎えた。四十九日の法要は、東京都の富ヶ谷の私邸で、昭恵夫人や実弟の岸信夫首相補佐官など親族が集まって営まれた。しかし、事件の真相は未だに公開されていない。9月27日に元首相の国葬儀が行われる。元首相がこれまで日本と世界に貢献したものとは何か、元首相の遺志は何かを考え、自由国民連合として元首相の偉業を振り返る。

安倍晋三元首相
安倍晋三元首相

 自民党安倍派は8月25日、総会を開き冒頭に、出席者が黙とうをささげ、「元首相の遺志を継ぎ、心を一つにして頑張るとの誓いを申し上げた」(塩谷立会長代理)。午後には、同派の世耕弘成参院幹事長や西村康稔経済産業相らが私邸を訪れた。
 25日には、警察庁が安倍元首相銃撃事件に関し、警備計画の不備、要人後方の「空白」のミスなどをまとめた報告書を発表、同時に、中村格警察庁長官と奈良県警の鬼塚友章本部長が辞意を表明、翌日承認された。警備部門トップの桜沢健一警備局長の辞職も閣議で承認された。
 警備体制の不備は公開されたものの、事件の真相は未だに公開されていない。安倍元首相の死因は何だったのか、「見つかっていない」といわれる銃弾の行方、なぜ当日の警備が不備だったのか、山上徹也容疑者の単独犯行か、複数犯か、なぜ警護官は一発の爆音の後、安倍氏を防御できなかったのか、安倍氏はなぜ屈むことができなかったのか――など解明されていないことが多い。山上容疑者は精神鑑定のため半年ほど入院するといわれている。同容疑者の供述は真実なのかどうか。警察当局の捜査と解明に期待したい。同時に、真実を国民に知らせる使命があるマスコミも、事件の真相を究明してほしい。

「戦後レジームからの脱却」

 第一次第二次安倍政権、8年8ヶ月歴代最長の総理として安倍元首相の政治姿勢に貫かれていたものは、「政治は未来のためにある」「この国を自信と誇りの持てる国にしたいという気持ち」(安倍晋三著「新しい国へ」)であった。安倍元首相の偉業は一言では語りつくせない。主な業績を取り上げる。
 第一次政権では、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、戦後GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による占領政策によってつくられたレジームからの脱却を目指し、憲法改正と安全保障体制の見直しに取り組んだ。内閣府の防衛庁を独立した防衛省に昇格して外国との防衛交渉で防衛大臣として対等な立場を確保した。教育基本法の改正では、「人格の完成」と「国家・社会の形成者としての資質の育成」を教育の目標と定め、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」として「愛国心」「郷土愛」を盛り込んだ。
 また、憲法改正に伴う国民投票法を見直し、具体的な手順を示す法改正をし、平成19年に「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が可決、同年5月18日に公布した(その後、第二次安倍政権下の平成26年と菅政権の令和3年に細部の改正を施して、これで制度は整った)。
 「一年間の在任期間の中で、これだけ重要な法案を可決することができたのは、安倍首相でなくてはできなかった」「安倍氏は、政治家として、常に日本を基軸に立脚していた」(文芸評論家、小川榮太郎氏)。そのことが、GHQの反日政策に便乗して浮上したマスコミ、文化人、有識者には絶対に受け入れられなかった。このため、マスコミ、文化人は、安倍政権を攻撃の的にしたのである。

「日本を、取り戻す。」

 自民党は5年間の野党時代を経て、2012年12月、民主党から政権交代し、第二次安倍政権が始まった。12月の総選挙で自民党は「日本を、取り戻す。」のスローガンを掲げた。「これは単に民主党政権から日本を取り戻すという意味ではありません。敢えて言うなら、これは戦後の歴史から、日本という国を日本の手に取り戻す戦いであります」(前出著書)という意味だった。
 第二次政権では、「デフレからの脱却」(アベノミクス、金融、財政、成長戦略)、「地球儀を俯瞰する外交」そして「総合安全保障」を打ち出した。
 中でも特記すべきは、安倍外交は、従来の自民党首相の日米同盟を中心とした対米従属関係ではなく、日本を中心とした総合的なアジア安全保障の確立にあった。
 安倍政権は、2013年12月に、外交、安全保障の司令塔として、国家安全保障に関する諸課題につき、内閣総理大臣を中心に、日常的に、機動的に審議する場として国家安全保障会議(NSC)を内閣に設置した。同時に、安全保障に関する情報のうち特に秘匿する必要があるものを「特定秘密」として指定し、漏洩した場合の罰則などを定めた特定秘密保護法を成立させ、同盟諸国と機密情報を共有できる環境を整備した(2014年12月10日に施行)。
 その上で、2015年9月、「我が国および国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法の一部改正する法律」(平和安全法制整備法)と「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」(国際平和支援法)からなる平和安全法制関連2法(安保法制)を成立させ、喫緊の安全保障対応として一部集団的自衛権を容認する憲法解釈の変更を実現した。これによって、台湾有事の際の日米共同訓練が可能になったのである。
 この安保法制の成立を受け、安倍氏は、自由と繁栄の弧、セキュリティダイヤモンド構想、そして「自由で開かれたインド太平洋構想」を提唱、軍事同盟関係ではないが、日米豪印の事実上の安全保障体制(クワッド)を構築した。この安倍氏の日本主導の構想に米国が同意したのは、日米関係で初めて。この結果、日本は、従来の対米従属関係から一歩抜け出して、多国間の軍事、経済、情報の同盟関係へと進展させることができた。これを諸外国が認めたので、日米関係、諸外国との外交関係では戦後初めての情勢を構築したとみてよい。それだけに、安倍氏に対する諸外国の評価が高いのである。
 安倍氏は、首相退任後も、安全保障に関し、「台湾の有事は、日本の有事、日米同盟関係の有事である」「防衛予算はGDP(国内総生産)の2%以上が望ましい」などと発言、現政権に影響を与えていた。2022年7月の参院選で自民党は勝利し、憲法改正の発議に必要な国会議員3分の2以上の議席を確保した。現在、岸田文雄政権下で防衛力増強の方針のもと、防衛省、海上保安庁の予算の増額検討が始まった。今後3年間、国政レベルの選挙はない。これから「新しい国、日本」を目指そうとした安倍氏が参院選投開票前の7月8日に銃弾に倒れたのである。
 安倍元首相の「国葬儀」が9月27日に日本武道館で行われる。約6000人の弔問客が入り、海外から多数の要人が訪れる予定だ。フランスのマクロン現職大統領はじめ、米国からハリス副大統領、オバマ元大統領らの名前が挙がっている。日本の評価を国際的に高めた安倍元首相のレガシー(政治的遺産)を誰が引き継ぐことができるのか。今のところ、岸田首相に任せるしかない。しかし、リベラルなマスコミが「政敵」の安倍元首相が亡くなった今、矛先が岸田政権に向けてくるのは目に見えている。国葬儀の是非についてマスコミによる世論分断工作がすでに始まっている。岸田首相には、国葬儀の弔問外交を通して安倍レガシーの継承者として世界にアピールしてほしいものだ。

「大和心」を取り戻せ

 「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」
 平成最後の2019年1月の施政演説で、当時の安倍首相は、日露戦争開戦に向けて国民を鼓舞した明治天皇の御製を引用、日本人として行くべき道を次のように訴えた。
 「明治、大正、昭和、平成。日本人は幾度となく大きな困難に直面した。しかし、そのたびに、大きな底力を発揮し、人々が助け合い、力を合わせることで乗り越えてきました。急速に進む少子高齢化、激動する国際情勢。今を生きる私たちもまた、立ち向かわなければならない。私たちの子や孫の世代に、輝かしい日本を引き渡すため、共に力を合わせなければなりません。」
 日本人の中の「『大和心』の雄々しさ」を信じた明治天皇、「神州の不滅を信じ、(省略)誓って国体の精華を発揚し、世界の進運に遅れざらんことを期すべし」(昭和天皇の「終戦の詔書」)と日本復興を期待した昭和天皇。安倍元首相の真意に通じるものがある。元首相亡き後、日本人は今こそ先人が培ってきた「大和心」を取り戻すべきである。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


心のふるさとを訪ねて 私の神社巡り 西ゆかり(関東ブロック)

安倍元総理の「大和心」の石碑を訪ねて──香取神社
安倍元総理の揮毫「大和心」の石碑
安倍元総理の揮毫「大和心」の石碑

 先月7月10日の参院選投開票当日、ネット配信の「チャンネル正論 参院選開票特番」を見ていたら、千葉県香取市にある香取神宮の境内に8日に亡くなられた安倍元総理の「大和心」と書かれた石碑が話題になっていました。
 2020年3月末に鹿島神宮を参拝した際、近くにある香取神宮にも行きたいと思いましたが、香取神宮は駅から離れていて、神宮近くに停まる高速バスがコロナ禍の為に東京駅から1日1本、夕方発の便しかなかったので行く事が出来ずにいました。そこで、なんとしても行こうと調べたら5月末から土日祝日に限り1日3本の運行が始まっていたので早速参拝に出かけました。
 8月6日、東京駅から高速バスで1時間15分程、念願の香取神社に到着しました。当日の香取市の天気予報は非常に暑い予報だったのですが、連日の暑さが嘘のように涼しい日でした。
 香取市にある香取神宮は、全国にある香取神社の総本社。御祭神は、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)です。古くから国家鎮護の神として皇室からの御崇敬が最も篤く、特に『神宮』の御称号(明治以前には伊勢・香取・鹿島のみ)を以て奉祀されています。
 参道正面の朱色の鳥居をくぐり、木々鬱蒼とした玉砂利の参道の両側には、桜や楓が植えられていて鮮やかな緑に癒されつつ、まずは香取護國神社を参拝しました。そしてすぐ近くの有名な要石へ。神宮の資料によると、「古くよりこの地方は大変地震が多く、これは、地中に大きなナマズが住み着いて荒れ騒いでいるのだと。香取・鹿島両神宮の大神様等は、地中に深く石棒を差し込み、大ナマズの頭尾を刺し通されたといいます。当神宮は凸形、鹿島は凹形で、地上に一部を現し、深さ幾十尺と伝えられています」とのこと。
 奥宮を参拝後、正面の総門から入り重要文化財に指定されている朱色の楼門をくぐり、とても美しい黒塗りの本殿に見惚れつつ参拝しました。楼門の上にある額は東郷平八郎の筆によるものだそうです。
 本殿は、楼門と同じく元禄13年(1700年)、5代将軍徳川綱吉の命によって造営されたもので、桃山様式を色濃く残し、この時期の神社建築を代表する建物として昭和52年に国の重要文化財に指定されています。これまでにあまり見た事の無い黒塗りの堂々とした本殿でした。

香取神社正殿
香取神社正殿

 本殿参拝後に御朱印をもらう時に安倍元総理の石碑の場所を尋ねると、本殿の裏手左側に目指す石碑が有りました。そこに立つ大きな「大和心」と書かれた石碑を見、撫でたりしながらとても離れ難くしばらく立ちつくしました。その辺りに30分近くいたのですが安倍元総理の石碑に気付く人は少なかったです。
 香取神宮のホームページには今は削除されていますが、安倍元総理が亡くなった翌日付けで「安倍晋三奉賛会長」への哀悼の意が表されていました。安倍元総理の「大和心」と言う揮毫は奉賛会長として書かれたのです。
 参拝前に何故安倍元総理が奉賛会長に就任されたのか知りたいと思っていたのですが、神社の方からその経緯を教えていただくことが出来ました。奉賛会の初代会長が岸信介元総理で、それから歴代の首相経験者に奉賛会長をお願いされたそうです。前回の大祭の際に当時の安倍総理にお願いしたら快く引き受けて下さったそうです。
 石碑を見ながら普通「大和」の言葉の後には「魂」と言う言葉がイメージされますが、安倍元総理が「大和心」と揮毫されたその心を知りたいと思うと共に、この揮毫のご真筆は何処に有るのか、有るのなら見てみたい、と思いました。もしかしたらご真筆が宝物殿に有るかも知れないと、宝物殿を見学しました。
 宝物殿には国宝の「海獣葡萄鏡」などと共に、岸元総理や佐藤元総理、福田元総理などからの献上品の刀などが展示されていました。その他に、世界的に有名なフランス人画家マークエステル スキャルシャフィキの古事記の一場面が描かれた絵が飾られていたのですが、とても神秘的で印象的な絵でした。しかし、残念ながら宝物殿に安倍元総理のご真筆は有りませんでした。
 帰りのバスを待つ間に参道のお店で昼食を食べ、清算の時にお店の方が色々話しかけて下さいました。その方がご真筆は今何処に有るのかを教えて下さいました。実際の揮毫も石碑位に大きいのだそうです。
 もう一つの疑問、何故「大和魂」では無く「大和心」なのか?と言う疑問を尋ねたら、「それは聞いたことが無いなぁ。今度宮司に会ったら聞いとくよ」と言って下さり、「必ずまた来ますから教えて下さい」とお願いしました。
 私は参拝する神社を一期一会の心情で参拝しています。次に参拝出来るか分からないからです。今回もその様な気持ちで参拝に出掛けましたが、安倍元総理の石碑も有り、また香取神宮の雰囲気がとても良く、また訪ねたいと言う気持ちになりました。「大和心」と揮毫された安倍元総理のその心を訪ねる為にまた参拝する理由が出来ました。

憲法改正と大日本帝国時代の戦争の実情を研究

内外情勢認識会議

 自由国民連合の有識者によって国内、海外の情勢を分析、研究する内外情勢認識会議は、7月30日と8月20日の2回行った。
 7月30日のテーマは憲法改正問題で、各政党や保守系団体の提示する憲法九条改正草案を比較した。その結果、ほとんどの草案は同音異句であり、①侵略戦争は行わない、②自衛のための国軍を保持する、③内閣総理大臣が最高指揮権を持つ、という三点が共通していた。重要なことは国際標準の軍隊を保持することであり、改正の要点はそこにあることを確認した。
 自由国民連合としての独自の九条改正案を持つべきかを検討したが、自民党草案に我々の意図が含まれているので、そのまま自民党案を支持することとした。
 8月20日は二つのテーマがあった。第一は前回に引き続き改憲の話題で、特に国民投票制度の研究をした。改憲は憲法九十六条で定められているが、実際に改憲を行う際に必要となる具体的な手続きが規定されていない状態が長い間手つかずのままだった。第一次安倍政権の平成19年になってようやく「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が可決、同年5月18日に公布され、第二次安倍政権下の平成26年と菅政権の令和3年に細部の改正を施して、これで制度は整った。
 しかし改めて制度を検討してみると、難関がいくつもあることが見えてきた。それを後押しするのは世論の力であり、積極的に働きかける必要性を再確認した。 第二は歴史の話題で、大日本帝国時代での戦争犠牲者、軍事費について勉強した。政府統計、靖国神社の合祀者数などから、日清戦争、日露戦争、満州事変から大東亜戦争を含めて、合計約二百五十万人の軍人・軍属(戦没者率は30%)、80万人の民間人が犠牲となっている。また戦争遂行中の軍事費は国家予算の8~9割を支出していた。
 弱肉強食が幅を利かせる当時の帝国主義時代の国際情勢の中で、先人たちは、まさに国家の命運をかけた命がけの戦いで日本という国を存続させてきた。そうした先人たちの英霊の庇護のもと、日本国民は大東亜戦争終戦後、皇室を中心として今日の平和と繁栄を作り上げてきたことを再認識した。

阿部会長を囲む会首都圏女性局

女性局の使命と役割を自覚
女性局の集会
女性局の集会

 自国連女性局は7月3日、東京都内の集会場で、暑い陽ざしの中、阿部正寿会長を囲む会・茶話会を首都圏会員7人参加で行いました。
 まず、女性局次長の末広涼子さんが茶道の心得、作法、歴史(表千家、裏千家、その他流派)について講話。「茶道、華道、武道等は形から入りますが、一つ一つの動きには意味があります。茶道の場合は御客様のための心づかい、おもてなしという形の意味合いがわかれば、綺麗な御点前、作法になります」と説明、今回は、客側からの作法(頂く時)について学びました。
 手際よく御茶会が始まり、七夕を描いた生菓子、干菓子、御抹茶を頂きながら、ちょっと千利休の茶人としての生き方に想いを馳せての時間となりました。
 引き続き、阿部会長が講話。「日本には、茶道、華道、武道、和食等の日本精神を形に表した文化がある」として、日本文化の継承の大切さを強調しました。その後、自身の自叙伝を取り上げながら、英国と日本の国家的使命を一つに繋ぐことの重要性と、金沢での体験談などを当時を振り返りながら話されました。
 会長は最近思う事として、国難と云われる少子化問題についてスウェーデン、フランスの例を上げ、「人口増の背後には夫婦別姓など戸籍廃止の動きがある。日本でもその様な流れになりそうで危惧している」と懸念を表明されました。
 最後に、会長は、日蓮の「立正安国論」に触れ、国の未来の為に自ら提案した「神洲日本建設」と題した「自由国民連合起願文」を読み上げました。同起願文は十六項目からなる四字熟語で、自国連の目標を明確に示したもので、女性局の使命と役割を改めて自覚しました。


自由国民新聞12号 2022(令和4)年7月20日発行

岸田首相、安倍元首相の遺志継承を

台湾有事に備えた憲法改正を早期実現せよ

 7月10日実施された第26回参院選は、自民、公明の与党が選挙区選、比例選ともに議席を伸ばして75議席を確保、改選過半数(63議席)を大きく超えて大勝した。憲法改正に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主党の「改憲4党」で、改憲発議に必要な3分の2の議席(166議席)を上回った。これに対し、野党第一党の立憲民主党は、政府の物価対策や経済政策を批判し、与党の過半数阻止を狙ったが、野党一本化をまとめることができず、6議席を失い、与党過半数阻止はできなかった。国民民主党、共産党も2議席減らした一方、関西に基盤をもつ日本維新の会は12議席に6議席から倍増した。この結果、参議院の現勢力は、定員248議席に対して与党が146議席、野党が102議席。投票率は、52・05%で、前回2019年参院選の48・80%を上回ったものの、低水準にとどまった。

要人に対する警護、警備体制の強化を

安倍晋三元首相の遺影
安倍晋三元首相の遺影

 今回の参院選での自公与党の勝利は、事前に予想されていた。結果は「予想以上」(自民党本部幹部)だったが、いくつかの要因が挙げられる。一つは、拡大するコロナ禍による国民の将来に対する不安に対して、現実的な対応を政権与党に求める期待と野党の弱体化があった。野党第一党の立憲民主党には、野党をまとめる力がなく、コロナ対策に対する現実的な対案を示すことができなかったことに対する失望感が国民の中に広がっていた。選挙戦でも、32の一人選挙区で11区でしか野党一本化がまとまらず、結果的には、与党対野党で28勝4敗だった。
 自民党も票が伸びたわけではない。自民党に対する不満は、立民に票がいかず、政府の政策に是々非々で対応する維新に流れ、立民は6議席を失い、維新は6議席増やした。比例区では、維新への票が、立民を上回って、維新が野党第一党になった。批判のための批判をするリベラル政党の立民、共産は議席を減らし、社民はかろうじて1議席を確保するのがやっとだった。自民党の政策を批判し、政策と政治の在り方の対案を打ち出した新党の参政党は、保守無党派層に浸透して比例で約176万を得票、1議席を獲得した。
 もう一つは、ロシアによるウクライナの軍事侵攻で、国民の中に、国の安全と政治的安定を求める機運が高まったことが挙げられる。「中国の習近平国家主席による台湾への内部工作あるいは武力行使が現実味を帯びてきた」(米国軍部高官)。「台湾の有事は日本の有事」(安倍晋三元首相)と言われる。危機が迫った場合、国民は国の安定と生活の安全を志向する。国民は「聞く耳を持つ」「岸田首相に期待する」という声が選挙の出口調査で約7割に上った。ロシアのウクライナ侵攻が憲法改正、防衛費増大を主張する岸田政権にとって追い風になったとの見方だ。
 一方、今回の参院選で特筆すべきは、7月8日に自民党内最大派閥の領袖として国内外に大きな政治的影響力をもった安倍晋三元首相が遊説中被弾し死亡したことだ。安倍元首相に対して心から哀悼の意を捧げたい。
 安倍氏の襲撃事件では、犯行の動機、実態、背景は警察当局の捜査で後日明らかにされるが、安倍氏への警護、警備体制の不備、杜撰さを指摘したい。元警護責任者らによると、これまでの映像、目撃者の証言などから、「当日の警護、警備体制、行動に、あまりにも初歩的な不備があった」。公安当局、警察庁、警察署などの調査に基づいて、当日の警護、警備体制、行動の実態、反省点を、警備上、国益上限界があるものの、「可能な限り」国民の前に明らかにすべきである。
 安倍氏は、首相在任期間8年8か月という憲政史上最長の指導力を発揮し、第二次安倍政権では6回の国政選挙に勝利した、稀有な政治家である。
 首相在任期間中には、教育基本法の改正、憲法改正の国民投票法成立、防衛庁の省昇格、特定機密保護法の成立、日本版NSC「国家安全保障会議」設置、集団的自衛権行使容認の閣議決定、平和安全法制の成立、外交的には、日米関係の信頼醸成、「自由で開かれたインド太平洋構想」提案、日米豪印のクワッド連携など数々の実績を挙げている。
 首相退任後は、菅義偉首相、岸田文雄首相に政権が移ったが、自民党最大派閥「清和政策研究会」(清和会、安倍派)の領袖として大きな影響力を持つと同時に、外国の要人からの信頼が厚かった。安倍氏に近い筋によると、参院選後は、悲願の憲法改正、防衛力の強化、北朝鮮による拉致問題、北方領土返還、皇室の安定、世界の中の日本の外交的役割の向上などの課題の解決を図る専門家集団の独自のシンクタンクを設立し、「美しい国」づくりに邁進する意向だったという。コロナ禍と経済不振、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高、円安に加え、中国の軍備増強、北朝鮮の核の威嚇など内外共に危機的状況下に置かれた日本にとって、安倍氏という政治家を失ったことは、日本にとって大きな損失であることは間違いない。
 自民党内には、「安倍氏の遺志を継ぐべき」との声は大きい。岸田首相は今後、内閣改造、自民党役員改正、秋の臨時国会、年末にかけて国家安全保障戦略など3文書改定、来年度予算作成など日程が詰まっている。岸田首相が岸田スタイルを活用して「安倍氏の遺志」をどのように継承し、我が国が抱える課題をどう解決していくか、岸田首相の政権運営の力量が問われる。
 今回の参院選の結果を踏まえ、「尊王愛国」「反共救国」「保守団結」「国際連帯」を運動方針に掲げる自由国民連合としては、「国体の本義」に基づいた「和」と「まこと」の日本精神を復興させるとともに、自立した日本を取り戻すために、憲法改正に向けた国民運動を全国的に展開していく方針である。

自由国民連合起願文の宣布

 自由国民連合は7月1日、2022年後半の精神復興と運動の実現化にむけて、次のような16の漢字四文字による「起願文」を宣布した。

「神洲日本建設」
 自由国民連合起願文

  • 神愛立国
  • 尊皇愛国
  • 保守団結
  • 反共救国
  • 世界連携
  • 絶滅左端
  • 自立日本
  • 世界支援
  • 国防強化
  • G七協調
  • 領導各国
  • 経済繁栄
  • 世界共存
  • 立正安国
  • 八紘一宇
  • 理想実現

令和四年七月一日 自由国民連合

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


「大和魂を復活させよ」

自由国民連合 7月定例会

戸塚ヨットスクール校長 戸塚 宏氏

 一般社団法人自由国民連合(自国連)は7月15日、都内の日本橋公会堂で、戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏による「教育荒廃の本質」と題する7月定例会(主催、自国連)を開催した。約50人が参加。戸塚氏は「リベラルの思想が日本の教育をダメにした」と指摘、「日本人が縄文時代から持ち続けてきた『和』の心、大和魂を復活させることが日本を蘇えさせる」と語り、「和」をつくる能力を高める教育の重要性を強調した。

講演する戸塚宏氏
講演する戸塚宏氏

 定例会は冒頭、参加者全員が7月8日逝去された安倍晋三元首相に対して黙祷をささげた。
 戸塚氏は講演の中で、登校拒否の子供たちなどを戸塚ヨットスクールの教育方針で立ちなおしている経験と実績を踏まえ、独自の教育論を展開した。「現在の教育は、学校の先生や親が、自由や権利の定義を知らないで、子供の自由や権利ばかりを主張して、子供を甘やかして、あまり叱ることをしない」「褒めることも大切だが、褒めるだけで、叱られたことのない子供には自分が悪いという罪悪感がないから相手を考えない犯罪行為に走る。人のことを考える社会性が身につかない」「リベラルなマスコミや先生に洗脳されて、子供をダメにしている」とリベラルな教育の欠点を指摘。「教育には、子供の今がかわいそうと甘やかすことより、将来を思って叱ることが大切。子供は叱られることで、罪悪感、反省する気持ちを身につける。罪の意識を持てば、悪いことはできない。社会性が身につく。今つらいのは、将来の為になる。仏教の教えにも『苦あれば楽あり』がある」と語り、教育において叱ることの重要性を強調した。
 同氏はまた、教育界、マスコミ界に浸透している左翼思想、リベラル思想について次のように指摘した。
 「左翼は、上に立つ者、権力を支配者と考え、これに反抗するのが正しいと教えるが、左翼の考えに反抗してはならないと教える。善悪の定義ができないリベラルは、自分にとって都合のいいのが善で、都合が悪いのが悪と決めつける。自分の考えと違う相手を非難するが、自分の間違いを認めようとしない。批判のための批判をするのがリベラル。代案はない。みんな平等がいいと教えるが、平等だと進歩がない。差を認めることから進歩がある。リベラルな考えでは成果が出ない。教育が駄目になると、日本が滅びる」
 この現実に対して同氏は、「日本には、科学的な素晴らしい精神論がある。それは大和魂だ」と強調。「宇宙誕生以来、時間、空間、エネルギーの『和』をもって素粒子、物質、星座、生物、動物、人間と進歩してきた。日本では1万7千年前からの縄文時代は平和を維持してきた。『和』の精神があるからだ。日本人には『和』をつくる能力がある。『和』の精神こそ大和魂。聖徳太子は『和をもって貴しとなす』と言ったが、現在では『和をもって貴しとなせ』で、『和』で行動すれば、能力の成果が上がる。『和』をつくる能力を教えれば、日本は進歩する」
 最後に、次の言葉で締めくくった。「人間の本能は善である。本能とは生きること、種族保存、生命力である。どう生きるかを教える。本能を開発すれば、正しい人間になる。人の心には知、情、意があるが、意思を強くすることが重要である。正しいことをする人は少数派である。正しいことを貫くには、勇気が必要であり、本当の大和魂を持つことである。これを左翼やマスコミのリベラル派が最も反対するだろう。だから、大和魂を復活させよ」

心のふるさとを訪ねて 私の神社巡り 西ゆかり(関東ブロック)

日本人の「心のふるさと」伊勢神宮
天皇に代わり天照大神に仕えた斎王
斎王宮址
斎王宮址

 まずは、この紙面をお借りして、7月8日にご逝去された安倍晋三元首相のご冥福をお祈りし、心からの感謝をお捧げ致します。日本のみならず世界の人々から愛された安倍元首相のあまりにも衝撃的な最期により、おそらくは世界の人々に「日本=安倍晋三」という名前が深く刻まれたのではないかと思います。
 安倍元首相について印象に残っているのは、今年2月17日に自民党公式YouTubeチャンネルにアップされた「突撃!隣の議員会館 ゲスト: 安倍晋三 衆議院議員」という動画です。安倍元首相の議員会館の部屋を紹介する内容で、応接室には和紙に焼き付けられた伊勢神宮の大きな3枚の写真、執務室の中には2016年のG7サミットの時、伊勢神宮の正宮の鳥居の前で首脳達と並んだ絵柄の絵馬が飾られていました。その絵馬を見ながら、当時のことを語られるエピソードは日本を愛された安倍元首相らしい話しでした。この元首相の部屋から、伊勢神宮への思い、ご皇室への思いが伝わってきました。
 伊勢神宮に参拝したいと思いはじめたのはまさにこの2016年の伊勢志摩サミットが開催されたことがきっかけです。テレビでサミットの様子を見ながら、世界の首脳達も集う伊勢神宮を知らないのは、日本人として申し訳ないという思いがこみ上げてきたのです。
 2000年の歴史を有し、日本人の「心のふるさと」と称される伊勢神宮。念願叶って初めての伊勢神宮参拝は2019年5月4日、令和の時代が始まって4日目でした。神宮の外宮の門の前に初めて立った時の感動は今も忘れることが出来ません。その日は抜けるような青空で沢山の参拝者がいましたが、静謐で凛とした空気、まさに悠久の時を超えた異次元の世界がそこにありました。
 翌年20年と21年は11月23日の新嘗祭の日に参拝しました。特に印象的なことは、三回の参拝の日がいずれも本当に美しい青空だったことです。
 今回は20年11月23日の伊勢神宮参拝の際、特に思い出深い斎王宮跡地を訪ねた時のことを紹介します。神社参拝をする時は、参拝する神社の歴史などを調べます。二度目の伊勢神宮参拝を前に様々調べていたら、昔「斎王」と言う制度があり、宇治山田駅から電車で20分弱の所にある斎宮駅には広大な斎宮跡地と斎宮歴史博物館があることが分かりました。
 神宮の外宮と内宮を参拝した後、斎宮駅に着いたのですが、駅の前に東西2キロ、南北700メートルの広大な斎宮跡地が広がっていてとても驚きました。斎宮(さいくう・いつきのみや)とは、天皇に代わり、伊勢神宮の天照大神に仕える斎王の住まう所です。
 歴史博物館の資料によると、斎王制度の概要は平安時代に編纂された法令集『延喜式』により知ることができる。これによると、斎王は、天皇が即位すると未婚の内親王(皇女または女王)の中から、卜定(ぼくじょう)と呼ばれる占いの儀式で選ばれた。
 斎宮は、碁盤の目状に道路が走り、木々が植えられ、伊勢神宮の社殿と同じく清楚な建物が100棟以上も建ち並ぶ整然とした都市で、そこには斎宮寮を運営する官人や斎王に仕える女官、雑用係などあわせて500人以上もの人々が起居していた。斎宮では、斎王自身が清らかであることはもちろん、寮の官人および寮内各所が常に清浄であることが求められ、都に準じた様々な祭りや年中行事が行われたそうです。
 斎王がその任を解かれるのは、天皇の譲位・崩御、斎王の病、肉親の不幸などの場合に限られており、そのため、天皇一代に斎王一人が原則でした。制度上最初の斎王は、第40代天武天皇(在位670年~686年)の娘・大来皇女(おおくのこうじょ)で、この制度は、制度が廃絶する第96代後醍醐天皇の時代(在位1318年~1339年)まで約660年間続き、その間60人余りの斎王の名が記録されています。
 私が訪ねた日は、博物館では跡地発掘から50周年の特別展が開催されており、その最終日でした。2016年に当時の天皇皇后両陛下もご覧になった様々な展示品やジオラマを見た後、広大な跡地の一角にある「斎王宮址」を目指して歩きながら、660年の長きにわたって斎王を務めた歴代の女性達と、その斎王を支えた名前も知れない多くの人々について思いを馳せました。
 史跡「斎王宮址」の鳥居をくぐり、その昔おそらくは宮殿があった場所で、結婚することなく神様に仕え、祈り続けた多くの女性達の御霊の安からん事を祈りました。
 切ない思いを残しつつ史跡を後にして夕暮れの駅までの道を歩き始めた時、突然私の両目に激痛が走りました。そして両目から滂沱の涙が流れ始めたのです。激しい痛みと涙がとめどなく流れ、止めることも出来ず駅までの一本道を泣きながら歩きました。
 この時、目の痛みに耐えて流れる涙を拭きながら、おそらくはこの地で結婚をする事なく、身を清く保ちながら神に仕えた多くの女性たちの流した悲しみの涙なのだろうと思いながら更に切ない思いになりました。
 伊勢神宮について調べなければ知る事の無かった斎王と斎宮という日本の国の形が整い始めた頃の歴史が伊勢の地にありました。
 日本の国を、ご皇室を、そして伊勢の地を深く愛された安倍元首相が亡くなられた今、「美しい国」日本を創る為に私自身が努力することを誓い、今年も新嘗祭の日に伊勢神宮を参拝し、そしてまた「斎王宮址」を訪ねようと思います。


自由国民新聞11号 2022(令和4)年6月20日発行

真の愛国政治家による日本改革を

自民党比例代表の山田宏氏に期待

 第26回参議院議員選挙が7月10日に実施される。6月22日公示。改選議席数は、124議席(選挙区74、比例代表50)で、神奈川県選挙区補充の1議席を合わせて125議席。自民・公明の与党政権が過半数を制して安定した政権運営をするのか、野党がどこまで議席を伸ばせるか。ロシアのウクライナ侵攻、円安、物価高、エネルギー問題、コロナ禍対策などの課題を抱える中で、日本の未来を見据えて国民はいかなる選択をするのか。憲法改正の実現、中国による台湾有事の備えなど今回の参院選の意義は大きい。そうした中、自由国民連合(自国連)は、政策、人望、見識、意欲などを総合的に考慮して、比例代表で自民党参議院議員、厚生労働委員長の山田宏氏(64)を支持することにした。山田氏の人物像、政策を紹介する。

7月10日参議院議員選挙

東京都総決起大会で挨拶する参議院議員の山田宏氏
東京都総決起大会で挨拶する参議院議員の山田宏氏(東京都内集会場で、6月1日)

 「日本を護る。」と赤地に白抜きで大きく書かれた山田氏の名刺の裏に、「『よい国・日本』を護り、成長させる」の見出しで、次の5つの公約を掲げている。①憲法改正、②防衛費をGDP比2%に、③出産祝い金(第1子100万円、第2子200万円、第3子300万円)で少子化に歯止めを、④災害に強い国土のため大幅な公共投資を、⑤「国民皆歯科健診」で天寿まで健康に。公約の順番に、「政治は日本の国民の生命と財産を守り、平和な国を作り上げる」という山田氏の愛国の政治姿勢が如実に表れている。
 山田氏は5月23日に東京都内で開かれた講演会で次のように語った。
 「核拡散防止条約(NPT)は、米・英・仏・露・中の五大国が核を持つ。 他の小国は核を持たない。核を持つ大国は、核を持たない小国を守る。このような約束のもとに、締結された。その前提があって、ウクライナは核を放棄した。しかし、ロシアはウクライナを攻撃し、軍事侵略した。これは、約束を破ったロシアが100%悪い。軍事力で国境を変えてはならないという戦後の基礎としてきた国際法に違反する。 ウクライナは同盟を拒否し、非武装中立を国是とした。しかし、実はこれが一番危ない。 同盟を結ぶことが大事である」
 「他国が日本に侵略してきた場合、日本はどう対応するのか。パンデミック、大震災などが発生した場合、国家の緊急事態にどう対応するのか。こうした規定が現憲法にはない」
 「憲法9条の第一項はよしとして、2項には、自衛隊を『自衛軍』と明記しなければならない。軍隊でなければ、国際法では、ゲリラとして扱われる。そのまま射殺されてしまう。また、誤射して一般人を射殺してしまった場合、軍人なら軍法会議にかけられるが、軍人でなければ『刑事事件の殺人犯』として扱われる。自衛隊員を軍人としなければならない」
 今の日本にとって憲法改正が急務であると強調した。
 「英国に行ったが、英国の政治家の多くは、再び日英同盟を締結すべきだと言う。日本は、米国だけでなく英国とも同盟を結ぶべきだ。エネルギー問題は、今後、小型原子炉(モジュール炉)を開発し、活用すればよい」。同盟国の重要性も忘れない。
 防衛費増強については「自衛隊の予算はGNPの1%程度とされてきた。国家予算は 約5兆円だ。しかし、自衛隊の装備費は約8000億円で、砲弾、ミサイルが足らない。自衛隊員は現在、約24万人、特に海上自衛隊の数が少ない。任務にふさわしい給与を支払うべきだ。日本は、高度な技術力で、優秀な潜水艦を持っているが、原子力潜水艦にはかなわない。更に優れた原子力潜水艦を持たなければならない。さらに、サイバー、宇宙空間での抑止力強化が必要だ。このことにより、日本の防衛は格段の抑止力を持つことができる。だから、予算を増額すべきだ。10兆円が必要だ。」 と、極めて具体的な国防政策を語った。
 出産祝い金については、東京都の杉並区長時代に少子化対策に力を入れて実績を上げている全国の自治体をめぐり、得た結論の一つだ。「人口減少、少子化対策は国がやるべき仕事である。少子化を移民政策に頼るのは間違っている。出産一時金は、『子供国債』で財源を確保する。次世代の人には必ず理解される」
 災害に強い国土のためには、今こそ大幅な公共投資が必要である。「かつての民主党政権でダム工事を中止して、その後、大きな災害に発展した例がある。南海トラフ巨大地震、首都直下型地震などを想定した対策を今からやらねばならない。それに、過疎化の鉄道対策、高速道路の整備、スマート・シティ構想など、デフレ時に国は建設国債を発行して積極的に投資すべきである」と国の対災害インフラ整備と経済復興策にも力を入れる。
 山田氏が最近力説する提案は、「国民皆歯科健診」だ。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、後期高齢者医療費の高騰が予想される中、「口腔の健康は全身の健康に繋がることが証明されてきている今、切れ目のない歯科健診を実施することで、天寿ぎりぎりまで健康で過ごせる日本を創り、世界のモデルにすることです」と医療費抑制と予防医療の促進を狙いとしたものである。
 5月26日には昨年設立された「国民皆歯科健診実現議連」代表の古谷圭司衆議院議員とともに事務局長として山田氏は、松野博一官房長官に「健康寿命延伸へ歯科健診を」と題した提言を提出している。
 法改正、防衛費増大、少子化対策、防災と景気対策などは、自国連の中心的活動内容であり、ここまで、明確に、具体的に政策を語った政治家は少ない。中国共産党による台湾有事、沖縄侵攻が迫る中、我々には時間的余裕はない。「日本を護る」を旗印に掲げ、日本を根本的に変えようとする欠くことができない政治家の一人であると言えよう。山田氏が今回の参院選で再選を果たし、国政で更に活躍し、公約を果たすよう自国連は期待したい。


山田宏のプロフィール
 昭和33年、1月8日生まれ。昭和51年、都立国立高校卒業。昭和56年、京都大学法学部卒業。松下政経塾第2期生。昭和60年、東京都議会議員(2期)。平成5年、衆議院議員(1期目)。平成11年、東京都杉並区長(3期)。平成24年、衆議院議員(2期目)。平成28年、参議院議員(1期目)。平成30年10月、防衛大臣政務官。令和元年9月、 参議院自民党副幹事長。令和3年12月、参議院厚生労働委員長

「日本の尊厳と国益を護る会」への期待

 中国の軍事的脅威、ロシアの軍事侵略に端を発する世界的経済の混乱など、今ほど国政の舵取りの重要な時はない。今回の参院選候補者の様々な発言や政策を比較すると、最も政策に精通し、正しい判断をしているのは、「日本の尊厳と国益を護る会」(会長:青山繁晴参議院議員)のメンバーだ。同会は、与党自民党の所属議員で構成され、既に100人を超す勢力になっている。会長は、参議院議員の青山繁晴氏(比例代表に出馬)で、幹事長が参議院議員の山田宏氏である。両者ともに、今参議院選挙で再選を目指しているが、青山氏に比べ、山田氏の支持基盤は、「当人がハッキリと言いすぎることもあってか、まだ弱い」(山田氏選対本部関係者)。自由国民連合としては、山田氏には、国のために是非当選してほしい議員であるため、会員、友人、知人諸氏からの支持をお願いしたい。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


『和』と『まこと』の日本精神で世界の紛争を一掃しよう!

 「令和維新宣言」を掲げ、尊王愛国を柱とした保守勢力の大同団結を促すために令和3年4月に設立された自由国民連合(自国連)は、本年4月28日に1周年を迎えた。一周年記念事業として、九州ブロックの福岡支部を皮切りに、静岡県三島支部、長野県松本支部、鳥取県米子支部と、自由国民連合(自国連)の目的とビジョンを全国津々浦々に伝えるための巡回講演会が5月29日から始まった。初年度は本部の組織編成などに時間を要したが、支部組織あっての改革運動であり、支部活動の活性化が組織を強化し、運動の強い推進力となるとの各支部の強い要請を受けたもので、自国連の理念強化の講演会が全国で開催することになった。

"日本再興"全国巡回始まる

 5月29日の福岡支部、5月31日の三島支部、6月11日の松本支部、6月12日の米子支部での講演会は、各支部とも予想以上の参加者が集い、成功裏に終了した。福岡支部では熊本県など遠方からも会員が駆けつけたほか、長年共産主義との戦いの最前線で歩んだ同志が数十年ぶりに再会するなど、会員結束の決意を確かめ合った。
 三島支部では八木秀雄中部ブロック長を中心とした開拓基盤の上に開催され、地元議員など幅広い人脈が集まった。松本支部では7月10日投開票の参議院選挙に関連した情宣活動の報告などが行われた。米子支部ではけ県内の遠方からも会員が参加、大いに盛り上がった。翌日は島根県太田市の市議会議員との交流会も持たれ、竹島問題などを共同で取り組むなどで市議と自国連との合意が得られた。

福岡支部講演会
福岡支部講演会
三島支部講演会
三島支部講演会

 講演会では、各支部長の挨拶に始まり、自国連の阿部正寿会長の遠隔メッセージのあと、水間石渓事務局長が「『和』と『まこと』の日本精神で世界の紛争を一掃しよう」と題して講演した。
 水間氏は「歴史を見れば、紛争の多くは、宗教、宗派の違いが原因か、神仏を否定する共産主義と自由と宗教を認める民主主義との争いであるかのいずれかである」とし、「一神教の世界宗教や中心性と行くべき方向性を見失った形骸化した既存の民主主義による紛争解決には限界がある」と指摘。「今こそ、古来より豊かな瑞穂の国に育まれた『和』と『まこと』の精神を復興させる必要がある」と日本精神復興が紛争解決のカギであるとの見識を示した。
 同氏は、「『お天道様が見ている』という神仏を中心とした概念を取り入れ、『天の願いはどこにあるのか』という方向性を民主主義に与える必要があり、その根幹をなすのが神道である。世界宗教と神道の違いは明確だ。世界宗教は一神教が主流だが、神道には教祖がいない。教理もない。ひたすら心身を禊ぎ、天の前に「影のない人生」を送ろうとするのみである。この精神を基にすれば紛争解決の方向づけとなるとともに日本の保守勢力の団結につながる」と神道、日本精神の重要性を強調した。
 全国巡回のスローガンは「今、一つになる時!」。自国連の会員の心が一つになる時、日本の保守諸団体の心も一つに結ぶことができるはずである。さらに、『和』と『まこと』の日本精神を土台として海外の保守、民主勢力と連携すれば、共産主義による全体主義体制を克服することも可能である。
 講演会の今後のスケジュールは、6月下旬に大宮支部、千葉県佐倉支部、7月が岐阜支部、兵庫県尼崎支部となっている。全国巡回の更なる実績を願うばかりである。

心のふるさとを訪ねて 私の神社巡り 西ゆかり(関東ブロック)

 数年前から神社に関心を持つようになり、時間を見つけては様々な神社参拝をするようになりました。神社にはそれぞれ歴史があり、意味がありますが、心のふるさとでもあると感じています。今回は神社参拝の大きなキッカケとなった靖国神社についてお話したいと思います。
 私は、1966年に九州鹿児島県の田舎の四世代同居の家庭に生まれました。実家の仏間には高祖父母の遺影と、戦死した2人の大叔父の遺影が飾られていました。祖父は日中戦争に参加し、大東亜戦争突入後はいくつかの任地を経て、最後はインパール作戦に参加。後に捕虜として一年を過ごし、生きて帰って来た明治生まれの寡黙でとても強い人でした。
 戦死した大叔父の一人は満州で終戦の前日、見回りに出たきり戻って来ることはありませんでした。享年32才。大叔父には妻と三人の子供がいましたが、敗戦後の混乱の最中の帰国の途中で幼い子供二人は亡くなってしまいました。
 もう一人の大叔父は佐世保海兵団に入団し、ハワイ海戦、ミッドウェイ海戦の他、太平洋での海戦に参加、最後はフィリピンのプエルトプリンセサにて終戦の半年前に戦死。享年27才、独身でした。
 高校まで実家で生活していましたが、祖父からは戦争当時の話しを聞いたことはほとんどありませんでした。曽祖父母が存命の時には大叔父の妻で、帰国後再婚された夫人が年に数回曽祖父母を訪ねて来た記憶があります。幼い頃から時々我が家を訪問して下さる物静かで品の有るその夫人が大好きでしたが、当時はその夫人がどんなご苦労をされたかなど、知る由もありませんでした。
 私は18才で上京し、21才の頃、祖父母を東京に招き、共に皇居や靖国神社を案内しました。子供の頃から演歌好きな家族で、「岩壁の母」や「九段の母」を歌う事が出来ました。当時は、祖父母孝行の為の参拝で、余り深く靖国神社参拝の意味やその価値を知らずにいて、その後靖国神社に参拝することはありませんでした。
 ところが、あるキッカケで靖国神社の存在意義を知り、2018年5月に30年ぶりに靖国神社を参拝したのです。その時、靖国に眠っておられる英霊246万6千体全てのご冥福のために、どうしたら良いのか帰宅して祈りました。その祈りの中で護国の英霊、特に大東亜戦争で散華された人々の冥福を祈っていると、崩御された昭和天皇に対する英霊たちの思いと同時に、昭和天皇の英霊と日本国民に対する愛に満ちた大御心を感じました。
 その後、韓国旅行から帰って来た後、友人と一緒に靖国神社を参拝し、その敷地に立つ遊就館を初めて見学しました。館内に展示されている達筆な文字で綴られた英霊の方々の手紙や沢山のご遺影、遺族の方々が寄贈された未婚で逝った息子や兄弟の為に贈られた花嫁人形に大きな衝撃を受けました。館内には零戦の他に人間魚雷と呼ばれた「回天」も展示されているのです。
 そうした展示品を見ながら、これまでの自身の人生と、英霊の生き様を垣間見ながらとても申し訳ない思いになりました。そして30年前、祖父母と共に靖国神社を参拝した際に、この遊就館のことを知らず祖父母に見せてあげられなかったこと、それから祖父が元気な時に様々な体験を聞いてあげなかったことをとても悔やみました。
 その後、コロナ禍が深刻化する前迄の二年近く、毎週一回靖国神社を参拝し、英霊の方々への感謝と、日本の平和と繁栄、天皇家の弥栄を祈って参りました。
 私なりに理解したことは、靖国神社は国の為に命を捧げた人々を祀る神社であると共に、愛する息子や夫、兄や弟を見送り、亡くした、「岸壁の母」のような女性たちの愛情が詰まった神社だということです。
 私の曽祖父母や大好きだった大叔父の夫人、それから私の実家のご近所には戦争未亡人が数人いらっしゃったのですが、そうした沢山の女性達の涙と祈り、そして愛とかけがいのない想いが詰まった神社がまさに靖国神社だと実感したのです。
 我知らず心の重荷を背負って参拝すると、多数の英霊やその英霊を想う女性の方々の愛情が時空を超えて私の重荷を取り去って下さっているように感じました。靖国神社参拝で英霊に感謝を捧げに行くと、いつも心の底から「ありがとう」の言葉が出てくるのです。


自由国民新聞10号 2022(令和4)年5月20日発行

保守勢力の大同団結で強い日本を

保守連合会議(仮称)設立準備大会

今、ひとつになる時

 一般社団法人自由国民連合(自国連)は4月29日、東京都内の公会堂で、設立一周年記念行事として「『和』と『まこと』の日本精神で世界の紛争を一掃しよう」「保守勢力の大同団結で強い日本をつくろう」をスローガンに保守連合会議(仮称)設立準備大会(主催:自由国民連合)をコロナ禍の中、関係者約100人を集めて行った。大会には、衆議院議員で自民党総裁補佐の国場幸之助氏から祝電が寄せられた。

祝辞を述べる加瀬英明氏
祝辞を述べる加瀬英明氏

 大会は、ロシアのウクライナ侵攻で犠牲となった軍人、市民に対して黙とうで始まった。
 二期会ソプラノ歌手の森敬恵氏による国歌独唱の後、自国連の水間石渓事務局長が一年間の経過報告をし、その中で自国連が政治団体から一般社団法人に移行した経緯および保守連合会議の年内発足に向けた概要と活動方針を説明した。
 関係者の代表として外交評論家の加瀬英明氏が祝辞を述べた。同氏は、「保守勢力の団結は壁が厚い」と指摘、「保守の大同団結には、信念とか政策と全く関係のない政治家の派閥を一掃し、日本の政治体質を変える必要があり、理性に基づく信念を持った人が政治を扱っていかねばならない」とし、自国連の活動に期待した。
 また同氏は、「日本国民の一番の敵は、中国でも北朝鮮でもない。日本国憲法であり、私たちの胸の中に在る」と語り、日本国民に一番脅威をあたえている憲法の改正の必要性を強調した。

ペマ・ギャルボ氏
ペマ・ギャルボ氏

 拓殖大学国際日本文化研究所客員教授のペマ・ギャルボ氏は、ロシアのウクライナ侵攻の現実に言及、「70年前に中国共産党は、平和愛好家の多かった独立国家のチベットを侵略し、現在に至っている。いまも子供たちに中国語学習を強制しているほか、中国に反対する焼身自殺が発生している」とチベットの現状を報告。「平和を唱えるだけでは平和はやってこない。我々は戦わなければならない。そのためには仲間を増やすことだ」と述べ、アジアの仲間たちとの保守連合会議の設立に期待した。
 さらに、神職で神道神祇本廰代表理事の奈良泰秀氏が壇上に立ち、「和」と「まこと」の日本精神の源流について「1万年以上前の縄文時代の日本の心性こそ、皆が助け合って生きてきた時代」とし、「縄文時代の心性を復興して、現在病んでいる日本精神を立て直すのも自国連、保守連合会議の使命である」として保守連合会議への参加を表明した。

阿部正寿会長
阿部正寿会長

 主催者側として、自国連会長の阿部正寿氏が挨拶、「保守勢力の大同団結には厚い壁があるのは事実であるが、『壁の穴』を作るのが私の使命である。相手には必ず弱点がある。弱点を発見して、一点突破全面展開でスピードをもってやればできる。それには、それができる人材が必要である」とし、米国の電気自動車テスラのイーロン・マスク氏を例にして「失敗を恐れない、勇気をもってやる、型にとらわれない日本人を作っていきたい」と自国連での人材育成の必要性を強調した。
 「日本がここ30年間経済的に停滞してきたのは、日本人がだめになってきたからだ。自虐的な心が我々内部に潜んでいる。もともと日本人は優秀である。日本精神を取り戻して、強い日本をつくっていく。一人でもやる。やるという決意が必要である。生命を義に捧げて、壁を貫いていく」と語り、自国連、保守連合会議発展にむけた決意を表明した。
 最後に、世界戦略総合研究所副会長の加藤幸彦氏による万歳三唱で締めくくった。

記念撮影
記念撮影
  • ●今年度の活動方針を決定 理事会、局長会議
     自由国民連合は4月29日の一周年記念を前にして、局長会議、理事会を開催、今年度の具体的な活動計画を練り上げ、活動方針を決議、承認した。
  • ●保守団体の結集を図る
  • ●7月の参議院選挙で応援する候補を決める
  • ●全国で講演会を開催する
  • ●ホームページ、フェイスブックの立ち上げ、月刊誌の発行など広報活動の充実化を図る

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


沖縄

廃藩置県、祖国復帰は正しい道

祖国復帰の日前夜祭 琉球国王尚家23代当主が臨席

前夜祭で挨拶する琉球国王23代当主尚衞氏
前夜祭で挨拶する琉球国王23代当主尚衞氏

 政府と沖縄県による「沖縄復帰50周年記念式典」が5月15日、天皇皇后両陛下のオンラインご臨席の元、同県宜野湾市と東京で同時開催され、沖縄県の次の50年にむけた新たな出発の節目となった。同時に、前日の14日、琉球国王尚家当主が臨席した「尚家と祝う沖縄県祖国復帰50周年『祖国復帰の日前夜祭』」(主催・沖縄県祖国復帰記念大会実行委員会)が那覇市内の会場で約300人集めて行われた。尚家当主が公的な場に姿を現すのは初めてで、当主は「日本帰属は正しい道」「祖国復帰は悲願である」と発言、廃藩置県と祖国復帰が尚家と県民の願いであることを明らかにした。同大会は、自由国民連合の友好団体である一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム(代表・仲村覚)の協力のもと実施された。

 挨拶に立った尚家23代当主の尚衞(まもる)氏=73歳、三重県在住=は、「当主として挨拶するのはこれがはじめでのことで、大変うれしく思っております」の語り、前例を廃して沖縄県祖国復帰50周年を祝う場に尚家当主として初めて公の場に姿をあらわすことができたことに感謝した。
 尚氏は、琉球国が日本に帰属する廃藩置県(1879年、明治12年3月)に言及、「大きな決断をされたのは、第二尚氏19代の尚泰王です。琉球がこれから存続していくには、日本に帰属するのが正しい道だとご決断された」の語り、当時の琉球国王が自らの決断で廃藩置県を受け入れたことを明らかにした。
 尚氏は沖縄県本土復帰について「米軍統治下において、祖国日本への復帰は百万県民の悲願であり、多くの県民の運動の積み重ねが日米両政府を動かし、わずか27年で祖国日本への復帰が実現されたのです」「県民の熱い情熱により選び取った歴史です」と語り、復帰の意義と尽力した先人たちに深い謝意を示した。
 尚家と沖縄について尚氏は「廃藩置県後、尚家は沖縄を離れて生活してきましたが、尚家の魂は常に沖縄にあり、沖縄あっての尚家であり、琉球文化あってこその尚家です」と尚家の沖縄への熱い思いを披露した。
 今後の沖縄について「現在の琉球文化、沖縄文化の発展と継承が必要」とし、一般社団法人琉球歴史文化継承振興会を設立した意義にふれ、「琉球文化の継承が日本の発展につながる」との認識を示した。
 ただ、「琉球文化や沖縄方言を学ぶことで日本との対立を煽るような動きが時々見える。私たちの願いとは対極にあり悲しい」と語り、琉球文化振興が日本と沖縄との分断に利用されることを懸念した。最後に、祖国復帰50 周年を新たな出発点とし「皆さまと共に正しい琉球歴史文化を継承発展させ、明るく豊かで平和な沖縄を築きたい」と呼びかけた。

二部で陸上自衛隊第15音楽隊と共に沖縄の音楽を楽しんだ
二部で陸上自衛隊第15音楽隊と共に沖縄の音楽を楽しんだ

 前日祭では、(二部で)陸上自衛隊第15音楽隊が、沖縄の名曲をアレンジして演奏。続けて、音楽隊の伴奏の下で、中城護佐丸太鼓が参加、歌手の望月よしえさんと山口あやきさんが沖縄の歌を歌い、会場が祖国復帰の祝いに酔いしれた。
 今回の尚衞氏の発言は、「琉球処分」と言われる廃藩置県が当時の尚泰王の決断でなされたもので、戦前最も尊皇愛国精神が強かった沖縄県民の祖国復帰の情熱が琉球国とつながり、琉球国と沖縄が今日の日本につながっていることを確証することで意味深いものであった。自国連の運動が、沖縄を拠点に全国に拡大することを期待したい。

中部ブロック三島支部

日本精神・歴史訪ね御柱祭見学

 自由国民連合(自国連)の中部ブロック静岡県三島支部の会員は5月14日、7年に一度、天下の大祭と言われる諏訪大社御柱祭の見学ツアーを実施しました。参加者は25名で、東京から6名が前日から三島支部会員の家に民泊をして、早朝6時40分より大型バスに乗車し三島市を出発しました。
 バスの往路では、日本の歴史文化に詳しい軽野史仁先生を講師に迎えて、諏訪大社の概要や諏訪信仰と諏訪の歴史を縄文時代から平安、鎌倉、戦国時代まで講演を拝聴して最初の見学場所の茅野市神長官守矢資料館に到着しました。資料館では鹿や猪の展示頭を神に供え物をする御頭祭の神事を復元展示していました。
 次に諏訪大社前宮まで徒歩で行き、参拝しました。午後から下諏訪町にバスで移動し、下諏訪駅から徒歩で諏訪大社秋宮と春宮に行き、御柱の里曳きを見学しました。1200年以上も連綿と受け継がれた御柱祭の神事は、諏訪の誇り高い伝統文化であることが現在にいる諏訪の人々の奉仕する姿から感じられました。
 帰路は車中で参加者にこの日の感想を発表してもらい、次回のバスツアーの要望等、会員同士の親睦と交流が深まりました。これからも定期的にバスツアーを企画して自国連の活動を推進していくことになりました。

沖縄支部

改憲の声は沖縄から

 自由国民連合沖縄支部の友好団体である自主憲法制定沖縄県民会議(会長:西田健次郎)主催の「新しい憲法をつくる沖縄県民の集い」が5月3日、那覇市で開かれ、約100人が参加した。参加者は本土復帰50年の節目の今年、沖縄から改憲の機運を高めようと気勢を上げた。
 集いでは沖縄選出の国場幸之助衆院議員と宮崎政久衆院議員が講演。国場氏は「岸田文雄政権が発足して以降、世論調査で改憲を支持する国民が過半数を超えた今が憲法改正の最大のチャンス」と述べた。その上で、「国民を守る規定となる緊急事態条項がないことはおかしい」として、自民党が提案している9条への「自衛隊の明記」と「緊急事態対応」条項追加の必要性を強調するとともに、自民党の党是である改憲手続きに意欲を示した。宮崎氏は「国民主権の原則から、沖縄が復帰した昭和47年5月15日に憲法確認の手続きを取るべきだった。だからこそ、沖縄から憲法改正の声を上げるべきだ」と訴えた。
 集いでは、激動の国際時代にあって国民の生命と財産を守り、国の歴史と文化にふさわしい憲法を作るべきだとする大会決議を全会一致で採択した。集いの様子は配信中継された。

時事問題を定期的に議論

内外情勢認識会議

 自由国民連合では4月から、各局長、関係者が毎週定期的に集い、最新の時事問題について議論する「内外情勢認識会議」を行っています。これは、現在浮かび上がっている国内外の情勢を自国連としてどのように考えるかをスタッフが関係資料を提出し、意見を出し合って議論する場で、状況に応じて、これを元にしてテーマごとに公式見解をまとめていくものです。
 これまでに、憲法改正、参院選への対応、核シェアリング、国連、ロシアのウクライナ侵攻、次の小冊子の内容などについて議論してきました。内外情勢はますます複雑化し時々刻々変化しており、私達は真贋混ざり合う膨大な情報の渦に巻き込まれて混沌としがちです。このため、自国連は幅広い情報・意見を元にしながら、尊皇愛国、反共救国、保守団結、国際連帯の基本理念に基づいて、ぶれない視点から日本の行くべき方向性を提示したいと考えております。
 自国連の支部長以上の方は参加することができますので、詳細についてのお問合せや参加ご希望の件などは事務局までご連絡ください。


自由国民新聞9号 2022(令和4)年3月20日発行

保守連合を具体的に組織化へ

自由国民連合年次総会

 自由国民連合(自国連、阿部正寿総裁)の2022年(2021年度・第1期)年次総会が13日、コロナ禍の中で参加人数を制限して都内の区民会館で開催された。同連合は21年4月に設立され、会員数の三分の二以上が参加(委任状含む)、総会は成立した。

阿部正寿総裁を囲んで
阿部正寿総裁を囲んで

 総会は、参加者全員の国歌斉唱、令和維新宣言の唱和に続き、事務局から一年度の決算報告、新役員の発表があり、承認された。各局の活動報告のあと、最後に阿部正寿総裁の講話があった。
 阿部総裁は講話の中で、昨年来の120日間の入院生活に触れ、「自由国民連合のあるべき姿を熟考することができた」とし、「混沌とした世界にあって秩序を構築していくためには、我が国古来からの『和』と『まこと』の精神の復興が必須であるとの確信でした」と述べ、自国連の目標とする「尊皇愛国」の建国の精神復興の重要性を確認した。
 自由国民連合の今後の展望として同総裁は、初年度を「内的基盤確立」期と位置づけ、「理事、執行部を一新して」次年度を「保守連合設立」に向けた会員拡大、さらに「活動基盤確立」、国際局の新設、「世界との連携」に向けて更なる発展の可能性を強調した。
 総会では、4月28日に自国連一周記念日の式典を行うとともに、同連合の組織について、政治団体を発展的解消して、任意団体から一般社会法人化にむけて改組していく方針が打ち出された。活式」「建国記念の日」の万歳三唱して閉会した。

総会を祝して万歳
総会を祝して万歳
主 張

権威主義、独裁政権の悪魔こそ我々の敵

自由国民連合総裁 阿部 正寿
 2月24日未明、ウクライナ国境をロシア軍が越えて始まった戦争は 1か月を迎えようとしている。ウクライナでの両国の戦闘は続いており、停戦交渉も最終的合意に至っていない。
 当初、ロシア軍が数日でウクライナの首都キエフを制圧してゼレンスキー政権を倒し、親ロシア政権を樹立するのがロシアのプーチン大統領の目論見だった。戦況が思わしくないため、焦ったプーチンは「核兵器の使用」を仄めかしている。世界中の防衛問題の専門家はプーチンが「核兵器」を使用するのでは、と懸念している。
  そのため、国連総会緊急特別会合は3月2日、「ロシアの軍事侵攻」を非難する決議を193か国中141か国の圧倒的多数で採択した。それでも、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、シリアの5か国が反対、中国、インドなど35ヵ国は「棄権」した。
 世界は一斉に対ロシア経済制裁を発動した。SWIFT(国際銀行間通信協会)は12日、ロシアの大手7銀行グループを排除した。ロシアはルーブルとドルの交換ができなくなり、他の国との貿易が出来なくなった。ルーブルは暴落し、ロシアにはハイパーインフレを迎える状況になってきた。このままでは、長期的に見れば、ロシア経済は破綻する可能性が高い。後ろでロシアを支える中国も、遠からず崩壊するだろう。
 世界的繁栄と平和を阻むロシアとロシアへの軍事支援をする中国、ミサイル発射実験を行う北朝鮮の背後には、それを動かす「サタン・悪魔」がいる。私たちは、その黒幕の存在を見失ってはならない。我々の目的は、そのサタンの排除である。
 ここで、自由国民連合の立場を表明しておく必要がある。我々は命懸けでサタンの勢力と闘う。国際法を無視し、国際連合憲章に違反するプーチン政権、プーチンを支援する習近平政権、ミサイルで韓半島統一を目指す金正恩政権の打倒であり、その戦いの中で、「北方領土」「竹島」を奪還し、尖閣諸島の領有権を確保するのである。待っていても、北方領土、竹島は戻ってはこない。
 保守陣営には、「プーチンはデイープステート(DS、世界を操る闇の政府、国際金融資本)と闘っている。だからプーチンを支持する」という人がいる。「DS云々」に騙されてはいけない。この問題に捕らわれると、我々の真の敵は何であり、何と戦うのかがわからなくなり、DSの情報操作に利用され、保守勢力の分断につながりかねない。DSを主張する人は、宗教ではないといいながら、無神論的弁証法で世論を誘導している。宗教や神の摂理が分かっていないのである。DSとの戦いは「神の摂理」とは無関係である。
 ポスト・ウクライナ戦争でプーチン政権が崩壊すれば、ウクライナは完全に独立する。やがて、習近平政権も失墜すれば、中国内のウイグルやチベット、モンゴルも独立の日を迎えることができる。現在も解決されていない少数民族の人権問題にも波及するのである。金正恩政権が崩壊すれば、南北統一、拉致問題は解決する。我々の真の敵は「共産主義」、権威主義、独裁政権であり、その背後にある、神の摂理に反逆する悪魔・サタンである。「DS」問題を判断の中心にしてはならない。
 このために、我々自国連は、「尊皇愛国」で日本精神を復興し、「反共救国」で、戦う目標を明確にし、共産勢力によるサイバー攻撃、分断工作に騙されることなく、「保守団結」して結束する。中国の台湾軍事攻勢を想定して、日本の国土防衛は勿論、日米同盟を基軸とした防衛体制を法律的にも整えるべきであると主張する。さらには、韓国、台湾、豪州、インド、EUと連携してロシア、中国、北朝鮮の国際的権威主義、独裁勢力の暴走を阻止し、勝利するまで戦い抜くのである。

プーチン大統領 ウラジーミル・ウラジーミロビッチ・プーチン(1952年~)
 かつて、ロシア帝政時代、「ラスプーチン」(1869~1916)という名前の怪僧がいた。ロシア王室に自由に出入りし、政治を壟断した。政府は何度かラスプーチンを暗殺しようと試みたが悉く失敗した。プーチンはラスプーチンの末裔ともいわれ、本名は、まさしく「ラスプーチン」である。「ラスプーチン」では、聞こえが悪いため「プーチン」と名乗るようになった。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


石垣市長選

保革共闘退け中山氏4選

県知事選へ自公の勢い続く

当確が出て万歳三唱する中山義隆氏
当確が出て万歳三唱する中山義隆氏(前列左から2人目)

 任期満了に伴う沖縄県石垣市長選は2月27日に投開票され、無所属現職の中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=が、無所属新人で保革共闘の支援を受けた前市議の砥板芳行氏(52)に2454票の差をつて破り、4選を果たした。自公は今年実施された県内3市長選で全勝し、夏の参院選、決戦となる秋の知事選に向けて弾みをつけた。自由国民連合沖縄支部は、沖縄本島で石垣市の支持者と連絡を取りながら選挙戦を戦った。(沖縄支部)

 「1月の名護、南城市長選に続く連勝だ」「(夏の参院選、9月の任期満了の県知事選にむけて)大きな弾みとなる」
 自民党の茂木敏充幹事長は27日夜、中山候補の当選が確実になった時、選挙事務所のモニターで「選挙イヤー」の沖縄県での選挙に自信を見せた。投票3日前には「保革優勢、自公厳しい」との風評が市内に広がっていたからだ。
 「オール沖縄・共産党」のチラシをまいて選挙戦を戦った1月23日投開票の名護市長選と南城市長選では自公推薦の候補が当選。同日に予定されていた八重瀬町長選は無投票となり、事実上の3勝だった。
 それに続く重要な選挙となった石垣市長選でも自公陣営が勝利した。自公陣営は、4月24日に県第2の都市である沖縄市長選を控え、同市長選を含め、夏の参院選、秋の知事選に向けて弾みをつけた。
 政府、自民党本部が石垣市長選に注目したのは、来年度の陸上自衛隊配備と尖閣諸島の施政権維持問題だ。ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて、習近平国家主席の中華人民共和国による台湾への軍事介入がここにきて現実味を帯びてきた。中国の台湾武力介入は、尖閣、八重山軍事介入と同じであるからだ。日本の領土をいかに防衛するかだ。
 陸上自衛隊の配備を容認する中山氏は、市長として陸自配備の是非を問う住民投票は提案しないと明言、これに対し、砥板氏は住民投票の実施を主張した。陸自の幹部クラスによると、陸自の石垣市配備は、ミサイル防衛が主力で、対中国防衛で極めて重大であり、すでに始まっている陸自駐屯地の工事をやめるわけにはいかないという。
 安全保障環境が厳しい今、予定通り自衛隊を配備しなければならない。中山市長が再選されてほっとしている」と石垣市の八重山防衛協会の三木巌会長は表情を緩めた。
 中山氏は尖閣諸島の周知・広報についても余念がない。20 19年には議会で可決された通り、尖閣諸島の地名に島名を入れる字名変更を実施。21年には字名を明記した標柱を制作した。今年2月には尖閣諸島海域の環境調査を敢行。石垣市と周辺離島を結ぶ離島ターミナルには昨年12月、「尖閣諸島情報発信センター」を開設し、尖閣諸島が石垣市圏域にあることを積極的に発信している。 中国の海警が尖閣周辺の領海侵入を繰り返す中、自治体の長が断固として施政権を主張し、行動を起こしている。対中国の弱腰外交の政府は、尖閣諸島への石垣市標柱設置を要請している中山氏に許可を与えるべきである。
 コロナ対策でも、中山氏は全国でも早いペースで高齢者の3回目接種を実施。高齢者施設や85歳以上は1月中に終わらせた。石垣市で演説した前ワクチン担当相の河野太郎自民党広報本部長が、石垣島はワクチン接種の先進地区と誇ったほどだ。
 一方、砥板氏を支持する保革共闘陣営は、「オール沖縄・共産党」と組んだ同氏に対し、保守層をどこまで引き込めるかが注目された。選挙戦で砥板氏は陸自配備についてはあまり触れず、中山氏による長期政権の弊害と「チェンジ市政」のスローガンを前面に押し立てた。 しかも、政党に推薦を依頼せず、議員の応援は沖縄選出の国会議員と県議らに限定するなど、革新色を薄めるよう努めた。
 その上、「オール沖縄」の顔である玉城デニー知事は、選挙期間中、一度も石垣入りしなかった。名護市長選では選挙期間中、4度名護入りしたのとは対照的だ。「知事は過去3年半の間、ほとんど石垣に足を運んでおらず、一定の批判もある。沖縄本島ほどの人気はない」(砥板陣営関係者)のが実情のようだ。
 沖縄出身の金城泰邦衆院議員(公明比例)は、「左右ごちゃまぜでは何の政治も実現できない」と保革共闘を揶揄する。
 共産党の志位和夫委員長は昨年の衆院選で「沖縄は保革共闘をスタートさせた」と豪語したが、今回、辺野古移設は争点にならず、オール沖縄を柱とした保革共闘の限界が露呈した。
 玉城知事は「一喜一憂することはない」と一見強気の姿勢を示しているが、現状では連敗続きだ。オール沖縄と保革共闘をどう両立させて選挙で戦うのかビジョンが見えない。オール沖縄・共産党の立て直しが必要のようだが、自国連としては、オール沖縄・共産党陣営を徹底的に叩いて、参院選、知事選に勝利するとともに、中国の対沖縄影響力工作の一掃に向けて大々的な活動をしていく。

 【メモ】石垣市長選挙結果
 中山義隆(54) 1万4761票
 砥板芳行(52) 1万2307票
 無効 333票
 投票率=70・54%
 前回比マイナス3・01ポイント)

大義を失ったロシア青年兵

 今、ウクライナでは、一般市民がロシア兵の銃撃で命を奪われている。しかし、良心的なロシア兵も少なくない。彼らは、死を覚悟して投降し、捕虜になる道を選んでおり、その数は既に200人を超えているといわれる。
 最近、戦死したロシア兵士の携帯電話がウクライナ兵によって発見された。その携帯電話には、その兵士と母親との次のようなメールの交信が残されていたという。
 「私たちは演習だと言われていた。また、ウクライナに来れば、皆が歓迎してくれると聞いていたのに、…彼らは装甲車を止めるために、装甲車の下に飛び込んでくるんだ…辛いよ、母さん」
 これが事実なら、青年兵士の悲痛な叫びだ。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナにいるロシア人を救出するためにウクライナに侵攻したと説明する。しかし、武力でもって国境を変更した国際法を無視したロシアの蛮行を許してはならない。ロシア軍は首都キエフ周辺でウクライナ軍の抵抗を受けて、戦闘が長期化する様相を見せている。ロシア兵が大義を見いだせず、圧倒的な軍事力を持ちながらも士気が上がらないまま、前進できないのではないだろうか。
 一方、ウクライナからの情報によると、ゼレンスキー大統領はじめ、ウクライナ軍は命を賭してまでも自らの国を護ろうと戦っている。彼らの士気は高い。世界中の在外ウクライナ人が、祖国を守る為、義勇兵となるためにウクライナに帰ろうとしている。
 ロシア軍のウクライナ侵攻で命を犠牲にした人々のために、一日も早い両国の停戦合意と平和を願ってやまない。(T)

関東ブロック

ウクライナ応援コンサート開催

東京池袋西口公園野外劇場
池袋で開かれた応援コンサート
池袋で開かれた応援コンサート

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が進む中、福島県いわき市出身で世界的指揮者の小林研一郎さんが主宰する「コバケンとその仲間たちオーケストラ」による「ウクライナ応援コンサート」が11日、池袋西口公園野外劇場グローバリングシアターで開かれ、応援に駆け付けた。集まった聴衆の中にはウクライナの国旗や「ロシア軍ウクライナ侵攻反対」「ウクライナに平和を」などのプラカードを掲げる人もいて、苦境にあるウクライナ人への支援の思い輪が広がった。
 冒頭、ウクライナ出身で東京在住のオペラ歌手オクサーナ・ステパニュックさんがウクライナ国歌を披露、ウクライナへのメッセージを伝えた。
 小林さんを指揮者に迎え、「コバケンとその仲間たちオーケストラ」約90人が弦楽器、菅弦楽器ごとに一階と二階に分かれて演奏。出兵する子供を想う母親または父親の切ない心境を描写したアイルランド民謡・ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)、帝政ロシアから独立を目指すフィンランドの人たちを勇気づけたシベリウス作曲の「交響詩・フィンランディア」、最後に、同一のリズムで2種類の旋律が繰り返される有名なラヴェル作曲の「ボレロ」で会場が熱気に包まれた。
 「ここにいる皆さんのウクライナの人々に対する思いが音楽とともに一つになって届いたと思います」と小林さん。会場ではウクライナ人への任意の募金が集められた。小林さんは今月、ハンガリーに行き、支援金を持参してポーランドやハンガリーにいるウクライナの避難民の苦労をねぎらうという。


自由国民新聞8号 2022(令和4)年2月20日発行

「建国の詔」の精神で日本の復興を

「神武天皇復活式」を挙行

自由国民連合

 初代天皇の神武天皇の即位日を記念する建国記念の日の11日、肇国の精神の復興を祈念する式典「神武天皇復活式」が都内で自由国民連合(自国連、阿部正寿総裁)主催で挙行された。同式典は、神武天皇の肇国を讃えるとともに、即位2年前に渙発された「「建国の詔」の理念を思い起こし、肇国の原点に立ち返って理想の国を目指す「令和維新」が再出発する契機となった。

神武天皇復活式
都内で行われた「神武天皇復活式」=2月11日

 式典では、開会宣言、国歌斉唱に続いて、にっぽん文明研究所代表で神主の奈良泰秀氏による斎主で神事が奉納された。神事では、斎主による祝詞奏上のあと、参加者全員で大祓詞を奉唱した。
 松原章氏による能楽「高砂」が奉納されたあと、阿部総裁が講話で、「神武天皇復活式」の意義を次のように述べた「古事記や日本書紀で日本の初代天皇とされる神武天皇の即位日は、紀元節として、明治天皇によって明治6年(1873年)に制定されたが、戦後、昭和23年(1948年)に占領軍(GHQ)によって廃止された。昭和42年(1967年)2月11日に「建国記念の日」として施行されが、今日、その意味を理解する人が少なくなっている。これが日本が勢いを失っていく最大の原因と考える。日本を復興するには、失われた肇国の精神、『建国の詔』の精神を取り戻し、その精神の基に日本が一つになるしか解決の方法はない」
 「このために、尊皇愛国、保守団結、反共救国、国際連帯を合言葉に自国連を創設した。この精神を取り戻せば、日本は変わっていく。建国の中心者、神武天皇の精神がそこにあるからだ。日本を世界の重要な国にするために、肇国の精神を心に明記して前進してほしい。神武天皇に心から感謝したい」
 第二部の祝賀会では、自国連教育局次長の磯田道男氏が紀元節制定の経緯、神武天皇の「建国の詔」の意味などについて解説した。最後に参加者全員で「天皇皇后両陛下」「神武天皇復活式」「建国記念の日」の万歳三唱して閉会した。

阿部正寿総裁
「神武天皇復活式」の意義を語る阿部正寿総裁

※神武天皇の御即位
 神武天皇の名前は、奈良時代に付けられた漢風諡号(一般的な呼び名)で、日本書紀では神日本磐余彦天皇(かむやまといわれひこのすめらみこと)と記されている。本名は彦火火出見(ひこほほでみ)。神武天皇が橿原宮で天皇に即位するのは、建国の詔が発せられた2年後の元旦「旧暦の辛酉(かのとり)の年春正月(1月1日)」(紀元前660年)で新暦の2月11日に当たるということで同日が建国記念の日とされた。戦前戦中は紀元節と呼ばれて祭日となっていた。神武天皇の御即位の年が天皇紀元の元年。今年は、皇紀2682年である。

出席者ら
出席者ら

万世一系の皇統は人類の至宝

 世界の王室の中で日本の皇室は、世界最古の歴史を誇っている。各国の王朝は頻繁に変わり、処刑や国外追放など悲惨な終わり方をしている王族も多く、2682年、126代続いている天皇は、まさに「世界史の奇跡」である。そして、天皇は世界で唯一の「皇帝(Emperor)」でもある。
 現在、国連加盟国193か国中、王室を戴く国家は、王を選挙で選ぶマレーシアとバチカン市国を含め、27 か国。日本に次ぎ、2番目に古い君主国がデンマークで、王制は10世紀に始まったが、王家は頻繁に替わって、現在はグリュックスブルグ家で、今の女王・マルグレーテ2世は、5代目だ。
 1789年のフランス革命では、マリー・アントワネットなど王族の他、約200万人が処刑され、王制は廃止された。中国では、1912年に中華民国の大統領になった袁世凱が、清朝の皇帝を退位させ、秦の始皇帝から約2100年続いた帝制を廃した。
 1917年のロシア革命でも、ロマノフ皇帝一家はもとより約1億人が粛清され、帝制に幕を閉じた。最近では、最古の国とされる紀元前900年から続いているエチオピアでは、1974年の軍事クーデターで、ハレイ・セラシエ1世が廃位、翌年に暗殺され、王制は断絶した。
 このように、世界の王族には、権力を恣に振るい、民衆から憎まれ、葬られたかを窺える話が多い。その中で、日本の皇統が続いているのは稀有な例で、天皇が国民を「大御宝」(おおみたから)として慈しみ、大御心(おおみこころ)による信頼関係がある故であった。
 そういう意味で、天皇の存在を認めない日本共産党が革命に成功しない限り、皇室存続への心配はない。しかし、GHQ(連合国軍総司令部)の占領下で行われた日本弱体化政策によって、令和を迎えた今日、今上天皇陛下、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下と皇位は継承されるが、その後の皇位の安定継承が大きな国家的な課題となっている。

建国の詔

「八紘一宇」の人生観、世界観

 神武天皇の建国の理想、精神は、「建国の詔」に示されている。天皇は詔の最後の部分で次のように述べている。
 「これから天地東西南北のために都を築造する。その都を四方八方を覆う大きな屋根に見立てて、みんながその屋根の下で暮らす家族のように助け合って生きていく国を築いていこう。畝傍山(うねびやま)の東南にある橿原(かしはら)の地で国を覆い、民衆を『たから』とする国を築いていこう」
 日本全国がひとつの屋根の下で暮らす家族のように、お互い助け合って生きていこうではないか、これが日本の建国の原点に置かれた。これを「八紘一宇」という。八紘は、四方八方のこと、一宇は一つの屋根の下で暮らす家族のこと。戦後、GHQによって使用禁止とされたが、災害の多発する日本列島において、国民が互いに助け合って生き残っていくのに必要な原点となる思想である。
 「民衆を『たから』とする国」とあるが、原文では「可治之」の3語で示している。「これを治らしむべし」と読む。「治らす」とは、日本の統治の根幹にある言葉で、民衆をこそ国の宝としていこうという意味である。国の宝にするのは天皇で、政治権力者は天皇の臣下として天皇の「たから」に尽くすことを責務としたのである。民衆は、心の中にある天、神、良心に従って正しく生きる限りにおいて権力からの自由が与えられている。我が国は天皇のもとで世界最古の民主主義を実現した国であり、その思想は、「天民主義」に通じるものである。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


辺野古移設工事が加速へ

名護市長に渡具知氏再選

 任期満了に伴う名護市長選が1月23日に行われ、自民、公明推薦の2期目を目指す現職、渡具知武豊氏が、玉城デニー知事を支援する「オール沖縄」陣営から立候補した前市議の岸本洋平氏に約5000票の予想以上の大差をつけて再選を果たした。自由国民連合は、告示前約10日間、名護市を拠点に「オール沖縄・共産党」のチラシを運動賛同者と共に配布したほか、街宣活動で、渡具知候補を応援した。(沖縄支部)

「オール沖縄・共産党」のチラシまきで応援した自由国民連合

当確を受け万歳三唱する渡具知武豊氏
当確を受け万歳三唱する渡具知武豊氏(前列左から2人目)=1月23日、沖縄県名護市の選対本部

 同市辺野古地区では米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設の建設に必要な埋め立て工事が進んでおり、玉城知事やオール沖縄の強引な反対を訴えたが、市民は、基地問題よりも生活重視を選択した。「自国連のチラシの効果があった」(渡具知事務所)のは間違いない。有権者約5万人、投票率は前回を8ポイント下回る68・32%と過去最低だった。
 渡具知氏の選挙事務所にあるモニターに姿を見せた茂木敏充自民党幹事長は、夜10時すぎ、渡具知氏の当確が出て、万歳三唱をした後、「国の立場からも全力で(名護振興を)バックアップしたい」と力強く述べた。
 「新基地建設反対」を争点に目論んだ「オール沖縄」陣営は、昨年の総選挙に続いて、敗北した。 市長選の結果は、市民の民意として建設に向けて弾みとなる道筋がついた。
 同日投開票が行われた南城市長選でも、自公が推薦する前市長の古謝景春氏が当選。現職相手に終始、苦戦が伝えられていただけに、オール沖縄から市政を取り戻したインパクトは大きい。さらに、この日に行われる予定だった八重瀬町長選は自公系の新垣安弘町長が無投票で再選を決めている。これを含めれば、選挙イヤーの序盤戦は自民の3戦3勝という形だ。
 沖縄の「選挙イヤー」の初戦と位置付けられた今回の重要選挙は自公に軍配が上がり、秋の知事選に向けて弾みをつけた。
 今回の選挙戦で最大の争点となったのは基地問題ではなく、子育て・福祉など市民サービスの向上だった。
 子育て無償化には年間7億円の予算が必要になる。渡具知氏は選挙戦で、「(自身が実現した)無償化3点セット(保育料、中学までの給食費、高校卒業までの医療費)は財源の大きさから、どの市町村でもできなかった事業」だと胸を張った。辺野古移設の見返りとして国から与えられる米軍再編交付金を活用したからこその実績だが、これが市民に受け入れられた。
 一方の岸本氏は、基地建設反対を訴える一方で、交付金に頼らず、市有地売却や行政の無駄を省くことで無償3点セットの財源を確保すると主張したが、「財源の根拠がコロコロ変わる」(渡具知氏)との批判に反論できなかった。
 名護市と南城市を取ったことで、自民党県連の中川京貴会長は「今後の市長選、参院選、知事選に向けて追い風になる」と力強く語った。一方で、「参院選、県知事選となると、簡単にはいかない」と、ある自民党県連幹部は気持ちを引き締めた。
 次の選挙は2月27日に投開票される石垣市長選と4月の沖縄市長選だ。石垣では4選を目指す保守系の中山義隆市長と中山市長を1期目から支えてきたものの、オール沖縄と手を組んだ旧保守系市議との一騎打ちとなっているが、来年の自衛隊配備を控え重要な選挙である。
 自民は夏の参院選(沖縄選挙区)と秋の県知事選ともにオール沖縄の現職に挑むことになる。しかし、2月下旬現在、参院選と県知事選の立候補予定者がまだ正式に決まっていない。
 自国連本部と沖縄支部の今後の沖縄対策が期待される。

「北京五輪は平和の祭典に非ず」

中国領事館に北京五輪抗議文投函

福岡支部
北京オリンピック開催への抗議活動
中国福岡総領事館前で行われた北京オリンピック開催への抗議活動

 福岡市の保守系団体「人権弾圧国家 中華人民共和国 中国共産党政権を許さない会」の有志が、北京冬季オリンピックが開幕した2月4日、同市にある中国福岡総領事館前に集結し、北京オリンピック開催に対して抗議活動した。
 この日同領事館は閉鎖していたほか、県警察の厳重な規制のため、団体一行は正門前ではなく敷地の端の路上に集結、自由国民連合福岡支部の伊藤大地支部長が、団体を代表して抗議文を読み上げ、領事館に投函した。
 同団体有志は抗議文の中で、「人権弾圧・民族浄化・言語文化や宗教文化破壊、そしておぞましい臓器収奪を続けている中国共産党政権にオリンピック開催資格などありません」とした上で「どれだけ多くの民族が中国共産党に苦しめられているのか、どれだけの人達が家族を奪われ家族が破壊され言語や文化を奪われ苦しみの中に在るのか。私たちは深い怒りと哀しみをもって中国共産党政権を糾弾します」と訴えた。
 さらに、抗議文は、「我々は自由民主の日本に住む者として、弾圧・民族浄化にさらされ声を上げることすら出来ない人たちの哀しみとともに『北京冬季オリンピックは平和の祭典に非ず。一日も早く『中華人民共和国崩壊』及び『中華人民共和国崩壊後のすべての民族解放』を願っている」と糾弾した。
 伊藤支部長は「日本政府の中国への弱腰が、このような規制をもたらした。今後もこのような規制に屈することなく、出来る限りの可能な手段で抗議活動を繰り広げようと決意した」と語り、自国連の「尊皇愛国」「反共救国」「保守団結」運動の意義を強調した。

自国連の存在意義を理解

女性局

 自由国民連合の女性局(小澤正枝局長、「桜の会」)は昨年10月から毎月2回、自国連発行のブックレット1「民主主義に魂を込める」をテキストとして、自国連事務局の水間石渓次長らを講師に招いて勉強会を行っている。首都圏、中部圏、九州ブロックから代表がリモートで参加、自国連の理念と存在意義の理解を深めている。
 小澤局長は、「最初は天民主義などなかなか理解困難なことがあったが、勉強会の回を重ねるにつれて、自国連の掲げる、『尊皇愛国』『反共救国』『保守団結』『国際連帯』の4つのスローガンの意味合いが理解できるようになってきた」と語る。
 1月でブックレットの勉強内容を終えて2月からは、古事記を参考にして、日本の国の成り立ち、万世一系の天皇の存在の価値、国際社会の中の日本の価値などを勉強していく予定である。
 「自国連を人に紹介するときに、勉強会で学んだことがとても参考になりました」「女性天皇と女系天皇の違いがよく分かった」などという会員の声が上がっている。

殉国七士廟を参拝 三ケ根山

殉国七士廟
殉国七士廟

 2月12日、愛知県西尾市の三ケ根山にある、極東軍事裁判の判決に従い死刑を執行された7人の軍人、政治家を祀っている殉国七士廟参拝に自由国民連合会員として今回初めて参加しました。同廟参拝を企画しているのは「三ケ根の会」で、2015年から始めて今回が15回目。
 この日、三河湾を一望できる三ケ根山は快晴にめぐまれ風もなく、春の到来を感じさせる穏やかな一日でしたが、当日の参加者は比較的少規模の参拝でした。
 参加者全員が厳粛な気持ちで廟の前で参拝、祖国日本のために戦争で尊い命を捧げられた英霊の方々に哀悼の意を捧げました。
 主催者の一人、坂下和美さんは、「参拝に来てもらえれば、日本人としての自覚と誇りを持つことができる場であり、何故に東の靖國、西の三个根と呼ばれるのかが分かってもらえると信じております」と語り、参拝参加を呼び掛けた。
 初めての参拝でしたが、廟は民間施設にも関わらす整備されていて、こんなところがあったのかとの驚きと感動の一日でした。
 同会の参拝は年3~4回行われており、次回は5月3日(火)の憲法記念日の予定。
 同廟には、軍人として東条英機、土肥原賢三、板垣征四郎、木村兵太郎、松井石根、武藤章、文官として広田弘毅7人が祀られている。(竹村祥)

会員募集

自由国民新聞7号 2022(令和4)年1月20日発行

自主憲法制定か習近平主席国賓訪日か

懸念される政権内部の親中、反日勢力

2022分水嶺

 明けた令和4(2022)年の日本は、4月にサンフランシスコ平和条約発効70周年、5月の沖縄日本復帰50周年、9月には日中国交正常化50周年を迎える。コロナ禍が猛威を振るう中、いまだ自主憲法を持たない国としての独立と今日までの日中関係を反省し考え直す節目の年となる。

施政方針演説をする岸田文雄首相
通常国会冒頭、施政方針演説をする岸田文雄首相(1月17日)

 岸田文雄首相は1月17日、通常国会で施政方針演説を行い、政府の方針を打ち出した。当面の新型コロナ対応に始まり、「新しい資本主義」「気候変動問題への対応」そして8番目に「外交・安全保障」、9番目に「憲法改正」を発表した。日本が直面している重要な課題である「外交・安全保障」「憲法改正」が最後になったのは岸田政権の運営方針の本音を表したものである。
 岸田第二次政権の林芳正外務大臣は一部に「林リン外相」と呼ばれている。「はやしさん」という日本人ではなく、「リンさん」という中国人の外務大臣という意味だ。ばかりでなく、外交官トップとしての常識にも欠けるから始末が悪い、と評価される。
 林氏はそもそも、2017年12月から超党派の日中友好議員連盟の会長を務めている人物だ。就任の記者会見で同会長を辞任する表明をしたものの、日中関係利権の総本山である同議員連盟の会長は親子二代という筋金入りだから、その肩書きを外したからと言って、親中・媚中は隠しようも隠れようない。
 この人事は、安倍晋三元首相や麻生太郎前副総裁らが強い難色を示したにもかかわらず、岸田首相が押し通したというから、同首相の対中姿勢の本音を表すものとして懸念される。
 もう一つの重要問題が公明党だ。
 公明党の山口那津男代表は先ごろ、今夏の参院選挙で自民党の相互推薦の調整が難航しているのを理由に、一人区の自民候補への推薦など選挙協力の見送り検討を明らかにした。これはブラフと見られているが、これだけ自民党に圧力をかけるほどに力を示す公明党は、ことごとく中国の代弁者になり、露骨なほど中国に有利になるよう暗躍している。
 公明党が中国による新疆ウイグル自治区などでのジェノサイド(集団殺害)に対する国会の非難決議を止めているのも、憲法改正の妨害に回っているのも、すべて中国の不利になる動きを抑え込むためのものだ。今年の主たる課題になることは不可避である中、親中・反日の公明党の姿勢は大きな妨害となる。習近平国家主席の国賓来日まで動かしかねない。
 中国の日本侵略の影響力工作は、政界、経済界、教育界、文化界、あらゆるレベルで進められている。現在の中国共産党から難を避けるには、日本の政治、経済、文化、軍事など多くの分野での安全保障体制の確立こそが必要とされている。

主 張

誇りをもって強い日本を創建せよ‼

自由国民連合総裁 阿部 正寿

 自由国民連合が2021年4月28日に創立して、はや9か月が過ぎようとしている。その間、内政では、10月の総選挙を経て、菅義偉内閣から岸田文雄内閣に移行したほか、野党も第一党の立憲民主党が議席を減らし、党首が枝野幸男氏から若手の泉健太氏に代わった。立民と共産党との連携の流れは不透明なまま夏の参院選を迎えようとしている。
 日本の政治は変わっただろうか。岸田政権は、コロナ禍において、ワクチンの接種、医療体制の完備、水際対策など予防策に加え、景気浮上のための補正予算成立など近々の課題には熱心に取り組んでいるようだ。しかし、10年、20年先を見据えた日本のあるべき国家目標、国家戦略など根本問題については何ら議論がされていない。国家の柱ともいうべき憲法についても、戦後、連合国最高司令官総司令部(GHQ)が日本を弱体化するために作成した憲法草案を基に作成された日本国憲法をこの74年間、ただの一度も改正したことがない。ましてや日本人自らの手で憲法を作ろうとしない。
 現憲法の改正という小手先の修正という発想を排除して、今後の世界と日本の将来を導くに相応しい日本独自の自主憲法を制定すべきである。
 ある世論調査では、国民の過半数が憲法改正に賛成しているにも関わらず、与野党衆議院議員は憲法審査会で十分な議論をしたことがない。自主憲法は、国民投票で最終的には決着がつくもので、政府、国会は憲法で制定された国民投票の権利を国民から奪ってはいけない。これこそ憲法違反である。与野党は、党派を超えて早急に憲法審議会で議論を深め、日本独自の憲法案を作成し、国民投票日を決めて、国民に信を問うべきである。
 一方、国際情勢をみると、コロナ禍で世界中の人々が苦しんでいる。新型コロナウイルスの発生の地といわれる中国が最大の問題だ。コロナ禍で世界各国の経済が停滞する中、中国は軍事力を背景に、政治、経済、文化面において世界制覇を狙っている。中国共産党中央委員会総書記、党中央軍事委員会主席、国家軍事委員会主席として党と軍と国家の3権力を掌握した習近平国家主席は、22年秋の5年に一度の党大会で地位と権力を継続する予定だ。習近平の本音は「中華思想を基盤として、共産主義の習近平思想によって理論武装された覇権国家」を建設し、全世界を中国の支配下におくことであるのを忘れてはならない。
 習近平は、昨年8月に北京で開かれた中央民族工作会議で「『中華民族共同体意識』を形作ることを民族政策の中心にせよ」と強調、「中華民族の利益が最重要」とし「各民族の民族意識は中華民族共同体意識に従い奉仕する」ものと断言、少数民族を中華民族にすることを言明している。中国でチベット、ウイグル、モンゴル、および香港などの少数民族に対する人権侵害を正当化しているのだ。そうした人権を無視する中国で「平和の祭典」であるオリンピックを開催してよいのか。
 中国と隣接する日本はどう対応すべきか。中国との交流は政治、経済、文化あらゆる面において重要である。しかし、日本が無差別的に中国と友好交流を持てばよいのではない。中国のもつ覇権主義は日本の国家目標と決して相容れるものではないことを肝に銘じるべきである。
 日本は安全保障の立場上、日米同盟を基軸として、米国、オーストラリア、インドのクワッド体制を維持しつつ、英国、フランス、ドイツなど関係国と協力しながら、中国が現在の覇権主義を放棄して、日本や同盟諸国と共通の価値観を共有させるようにすべきである。
 それでは日本は何をもって中国に対応すべきか。衆愚化し、機能不全に陥った民主主義では覇権主義には対抗できない。中国は、民主主義の弱点を悪用して政界、経済界、教育界、マスコミ界などに浸透し、影響力工作をして中国に対して正面から対抗できない環境を作ってきた。形骸化した民主主義に魂を入れ、より高次元な理念として、自由国民連合は、「天民主義」を提示するのである。「天民主義」とは、古来より日本にあった「天民」という概念をより明確にし、「天=神仏」と「民」との共治を理想とする政治思想である。
 日本は今後、「天民主義」を中心として①政治力②軍事力③経済力④科学力⑤文化力の5つの力(ペンタビレス=ラテン語)を強くするとともに、⑥教育力⑦情報力⑧精神力を強化して、強い国力を持った国にならなければならい。このために、新しい変革の時代、「令和維新」の今、①尊皇愛国②反共救国③保守団結④国際連帯を掲げたのである。
 2022年は、「壬みずのえのとら寅」の年。「壬」には、「はらむ」「生まれる」、「寅」には「延ばす・成長する」という意味がある。「壬寅」は、「新しく立ち上がること」や「生まれたものが成長する」意味をもつ。今年こそ、「天民主義」を広く国民に啓蒙し、世界一長い皇統を頂いた日本人として誇りをもって「自由」(Freedom=自主独立)で強い日本を創建してまいりたい。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


中国の台湾侵攻の危機は日本の危機

北京五輪ボイコット訴えるデモ

九州ブロック

 北京冬季オリンピック開幕を2月4日にひかえ、様々な問題をかかえて開催が危ぶまれる中、同五輪ボイコットを訴える北京五輪ボイコット推進集会・デモ福岡大会(主催・同実行委員会)が1月9日、福岡市天神の警固公園で参加者約百人(主催者発表)を集めて開催された。

北京五輪ボイコットを訴えるデモ行進
北京五輪ボイコットを訴えるデモ行進=1月9日、福岡市

 大会では、元環境相で自民党前衆議院議員の原田義昭氏が立ち、ウイグルやチベットなどで多くの人権弾圧が行われていることを指摘、「中国の習近平国家主席にこの実態を伝えなければならない」と強調、沖縄県の尖閣諸島について「中国の領海侵入を許してはならない。公務員を常駐させるべきである。道は近くにあり」とデモ参加者を激励した。
 原田氏は、一昨年の習近平来日反対デモ集会に国会議員としてただ一人参加している。
 次に、日本ウイグル連盟代表のトゥール・モハメット氏が次のように演説した。
 「ウイグルおいては、2016年から大量の強制収容所ができて、現在約300万人が収容されている。2020年には米国がこの人権弾圧をジェノサイドと認定した」と証言。日本政府に対して「日本はアジアにおいて、最初に自由、民主主義を確立した国であり、アジアの誇りである。中国の犯罪を決して許さないようにしてほしい」
 その後、大阪のデモ大会実行委員長の安保智子さんが挨拶し、「中国共産党の蛮行を許さず、日本を守るために頑張ろう」と訴えた。
 日本維新の会の山本剛正衆議院議員、八女市議会の牛島孝之議員からの激励メッセージが披露された。
 最後に、大会実行委員で自由国民連合福岡支部長の伊藤大地氏が「北京五輪ボイコット」を訴える決議文を読み上げ、全員一致で採択された。
 集会後、原田氏を先頭に天神の繁華街を中心に、「ジェノサイド国中国に五輪開催の資格はない」などとシュプレヒコールしながらデモ行進した。
 今回の集会とデモ行進について、自由国民連合九州ブロック長の江頭広樹氏は「北京五輪ボイコットに対する福岡県民の熱い思いが県民に伝わったと思う。
 ボイコット運動は全国的に広がっており、政府は我々の運動そして国民の声に耳を傾けて、中国に対して断固たる決意を示してほしい」と語った。
 北京五輪開催については米国をはじめとする先進諸国が外交ボイコットをいち早く表明したが、日本政府は閣僚を送らないと述べただけ。「外交ボイコット」という表現をしないばかりか、ウイグルなどの人権問題に対しても非難の態度を明らかにせず、中国に対する曖昧な態度に国民から懸念の目が向けられている。岸田政権の最終的な決断が注目されている。

黙ったままでは中共の檻に

河添恵子氏が講演

沖縄支部
川添恵子氏
講演する川添恵子氏=1月8日、浦添市

 新型コロナウイルス感染が爆発的に増えている沖縄県で、中国に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏が1月8日、浦添市で講演し、コロナ禍と中国の覇権主義強化とは無関係でないと指摘。また、沖縄にも中国の工作が進んでおり、台湾有事にも現実味が増しているとして、「日本は黙ったままではやがて中国共産党の檻おりの中に入ってしまう」と警告した。
 河添氏はこの中で、コロナ感染拡大に触れ、「ソーシャルディスタンスや、テレワーク、ステイホームを奨励され、人々は孤立し、精神的にも経済的にも追い込まれる」と懸念。こうした状況は「中国共産党が仕掛けた大恐慌」だと警鐘を鳴らした。 同氏は2年前、自身の著書「習近平が隠蔽したコロナの正体それは生物兵器だった⁉」で武漢発の生物兵器としてのウイルス流出を指摘している。
 河添氏は、中国の覇権主義戦略について、フランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)が昨年9月に発表した報告書『中国の影響力作戦』に言及。中国が沖縄と仏領ニューカレドニアで独立派運動をあおり、潜在的な敵の弱体化を狙っていると説明した。
 特に沖縄への関与は、中国にとって「日本や在日米軍を妨害する」ことを意味し、①米軍反対運動への支援②中国と沖縄の経済関係強化③米軍施設に近い沖縄北部での中国人投資の増加④メディアを通じて米軍基地の存在を疑問視する報道を繰り返す――などの動きがあると指摘した。
 こうした中国の工作活動について河添氏は、戦わずして勝つ「孫子の兵法」であることに変わりないとの見解を示した。
 実際に中国の工作活動や覇権主義は一層露骨になっており、 7日に開催された日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、台湾有事を見据え、「南西諸島での自衛隊の態勢を強化し、日米の施設の共同使用を増加させる」方針が示された。
 ところが、玉城デニー知事はこれについて反対の意向を示し、尖閣諸島(石垣市)に領海領空侵犯を繰り返す中国に対しても、「話し合いによる解決」を提案するにとどまり、抗議の声を上げていない。
 河添氏は講演の締めくくりで、中国の新しんきょう疆ウイグル自治区のウイグル民族に対するジェノサイド(大量虐殺)を例に挙げ、「日本は黙ったままではやがて中国共産党の檻の中に入ってしまう」と警告した。

ロバート・エルドリッジ博士講演会

日米は尖閣諸島で軍事演習を

九州ブロック
ロバート・エルドリッジ博士
福岡市民を前にして講演するロバート・エルドリッジ博士=1月18日、福岡市

 国際政治学者で元沖縄米軍海兵隊政務外交部次長のロバート・エルドリッジ博士が1月18日夜、福岡市の福岡東映ホテルで、「米中国交正常化50周年~現在の日米の関係は~」と題して講演した。主催者は、福岡市でFM放送のパーソナリティを務めている川井正彦氏。
 同博士は、米中が国交正常化して今年で50周年を迎えるが、その間、中国が軍事力、経済力、情報工作において力をつけている中で、米国の力が相対的に弱まっている点を指摘、「米国にとって同盟国との連携、特に日米同盟関係の強化が重要である」と述べた。日米同盟について「日本がしっかり法整備して領土を守らなければ、アメリカは守れない」と語り、在日米軍と自衛隊との協力関係の重要性を強調した。
 日本政府の対中政策について、同博士は「中国が台湾を威嚇しているが、岸田政権はそれに言及せず、当事者同士で解決してほしいと言っている」と岸田政権の対中政策の甘さを批判、いくつかの提言をした。
 特に、尖閣諸島を抱える沖縄については、「中国による影響力工作が進んでおり、尖閣は中国が実質的に手中に収めている」と断言、これに対して「保守派の情報戦略が弱い」と懸念を示し、「日米は尖閣諸島での軍事演習などを再開すべきだ」と提言した。

書 評

米国の「赤い闇」に挑戦した力作!

『中国に侵略されたアメリカ』
ジャーナリスト 山口敬之著
WAC 1400円+税
『中国に侵略されたアメリカ』
『中国に侵略されたアメリカ』

 米国で起きている中国による「静かなる侵略」の恐ろしい実態を、現地取材で核心に迫って浮き彫りにした、迫真のレポート。2020年の大統領選挙の陰で、最終的にBLM(ブラック・ライヴス・マター)抗議デモを過激化させ、トランプを葬った者とは?「BLM支持」という同調圧力に圧殺されたコロナ「武漢流出説」の背後でうごめいている中国共産党の工作員たち。日本でも「LGBT」「夫婦別姓」などを利用し、日本の「静かなる侵略」が進められている実態を告発している必読の一冊。

中国人も知らない歴史のタブー!

『ジェノサイドの中国史』
評論家・哲学者 黄文雄著
徳間書店 1500円+税
『ジェノサイドの中国史』
『ジェノサイドの中国史』

 なぜ中国はウイグル弾圧をやめられないのか。「異民族も自国民も『戮りくみん民(殺戮される民)』となる宿命。日本人はこの真実に目を背けてはいけない!」と、中国人も知らない歴史のタブーに切り込んだ渾身の一冊。
 中国4000年は、大虐殺の歴史。武帝から毛沢東の人民大粛清、そして現在も続く中国共産党による、南シナ海や尖閣周辺での国際法無視行動、香港での民主化封殺、ウイグルなど少数民族の弾圧に至るまで、中国の大殺戮の実態と、その行動原理を徹底的に分析する。

会員募集

自由国民新聞6号 2021(令和3)年12月20日発行

2022年を自主憲法制定の年に

サンフランシスコ条約70年、沖縄返還50年

 2022年は、日本がいわゆる「戦後」を抱えたまま77年目の年となる。「オキュパイド・ジャパン(占領日本)」から解放されたサンフランシスコ平和条約発効(1952年)70周年(4月28日)、また米国占領下からの沖縄祖国復帰(1972年)も50周年(5月15日)を迎える。どちらも、連合国最高司令官総司令部(GHQ)による占領統治から日本が独立し、一人前の国家となるための大きなイベントだった。占領統治下に日本の国体を決める日本国憲法が制定、施工され、今日まで一度も改正されないまま国と国民の指針となっている。22年こそ、国会が憲法審査会で、現憲法の不備な点を見直し、自主憲法を制定する年になるよう期待したい。

サンフランシスコ平和条約に署名する吉田茂首相
サンフランシスコ平和条約に署名する吉田茂首相(当時、1951年9月8日)
「戦後」総決算の年

 1951年のサンフランシスコ平和条約締結の日は、日本の「独立記念日」とすべきだとする論がある。これほど、敗戦後の日本が国としての自主独立を取り戻す戦後最大の好機だった。この時は吉田茂首相(当時)が経済復興を優先して、1947年に施行された現行の日本国憲法に手をつけようとしなかったため、その機会を逃した。その後の経済成長を見れば、同首相の選択は正しかったとも言えるが、国としてのよって立つべき根幹理念の乱れが引き起こした惨状を思えば、あの選択が日本と国民にとって決して「是」とはなっていないことに、はっきりと気づかなければならない。
 ここで、現憲法のいくつかの問題点を一問一答形式で考え、日本が作るべき自主憲法での代案を提示する。
 ――現憲法は日本が主権国家であることを保証しているか。
 前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と、日本の命運を外国の諸国民が握っていると明記している。こういう状態は、主権国家とは呼ばない。このため、現憲法では、日本は主権国家ではない、と言われても仕方がない。日本人自らで作る自主憲法には、「日本は自主独立の主権国家である」旨を明記しなければならない。
 ――国際的には、自衛権・集団的自衛権は国家の固有の権利とされている(国連憲章51条)が、現憲法はこれを保証しているのか。
 現憲法は、条文では自衛権と集団的自衛権とを否定している。日本以外のすべての国家が持てる普遍的権利を、日本にだけ否定しているのが現憲法である。自衛権を否定することは生存権を否定することであり、日本国民は地球上に存在する権利がないとみなされる。一般にはこういうものを、究極の民族的差別と呼び、民族の虐殺・抹殺(ジェノサイド、ホロコースト)を正当化することになる。
 自主憲法には、「普遍的権利である自衛権と集団的自衛権を有する」旨を明記すべきである。
 ――現憲法には政府の目的が明記載されているか。
 現憲法には政府の目的は書かれていない。目的が明記されていない一方、前文には「政府の行為は惨禍を起こす」旨が記述されている。自主憲法には、政府の目的を明記しなければならない。
 ――憲法を守ると、国民が幸福になるのか?
 現憲法には、敗戦した日本国民に対する占領国の懲罰的規定が多数あるので、幸福になる道が閉ざされている。自主憲法は、日本国民が幸福になれる制度を定め、政治を行うべきことを明記しなければならない。
 ――政府は国民の生命と財産を守ることが最大の責務だと思うが、現憲法は政府に対して国民を守る義務を課しているか。
 現憲法によると、外国の軍隊が侵略した場合、政府は国民を守る義務も権限もない。日本国民の運命は、ひとえに外国人の「公正と信義」への信頼、すなわち、外国人の胸先三寸に委ねると書かれている。自主憲法には、政府は国民を守ることを最大の責務とする、と明記しなければならない。以上のように、現憲法は日本が再度自分たちを脅かす強国となることを恐れた米国が、GHQを使って敗戦国として弱い立場にある日本に強制的に押し付けてきたものである。現憲法制定の目的は日本の劣化と弱体化にある。
 これに対し、二千年以上の皇室の伝統を柱に独特の精神文化を持つ日本が、国の発展と地域および世界の平和安定と繁栄を目指すべき自主憲法の理念は全く相容れない。国家として最低限の国民の生命を守る安全保障の面から9条の改正は当然のこととして、つぎはぎだらけの改正をしても、そもそもの理念・目的が違うのだから、すっきりと国民が受け入れ、誇りとするような使い勝手のいい憲法とは成り得ない。
 サンフランシスコ70年、沖縄返還50年の2022年こそ、自主憲法制定の記念すべき年とすべきである。

沖縄は2022「選挙イヤー」

 【那覇】沖縄県の2022年は、1月の名護市長選、南城市長選を皮切りに、2月の石垣市長選、4月の沖縄市長選、7月の参議院選、9月には沖縄の将来を決める県知事選と宜野湾市長選、そして10月に県都・那覇市の市長選がある。まさに「選挙イヤー」となる。いずれも自民・公明党勢力と共産党率いるオール沖縄勢力との戦いになることは間違いない。
 21年7月の那覇市議選では共産党の現職市議2人が落選、自民党会派市議が6人から12人に倍加し、保守勢力の回復、オール沖縄勢の衰退が続いた。また衆院選では、共産、社民がそれぞれ1議席を守ったものの、自民が比例復活をふくめ4選挙区で議席を確保した。
 沖縄の保革対決のメーンイベントは、知事の椅子の争いだが、その民意を象徴するものとして注目されているのが、知事に対する住民訴訟である。オール沖縄が支持した故翁長雄志前知事と玉城デニー知事の県民の民意を無視した政治活動に対して、住民が裁判を起こし、那覇地裁で係争中だ。
 また、19年10月に発生した首里城火災について、指定管理者に損害賠償を請求するよう県に求めて21年11月に始まった住民訴訟でも、玉城知事の責任が追及されている。
 那覇市政でも、孔子を祭る孔子廟のために市の公園内の土地を無償提供していたことに対して、憲法の「政教分離の原則」に違反するとして起こした住民訴訟では、最高裁大法廷が21年2月、違憲と判断され市が敗訴した。
 国政、県政、市政の各レベルで、オール沖縄勢は不評が増大しつつあり、総体的民意として保守が優勢を占めつつある。国政の民意を問う総選挙で、自民党本部の事前調査で「ほぼ全滅」といわれた4選挙区すべてにおいて、自民党議員全員が当選を果たせた事実は大きい。
 自国連沖縄支部はこの流れを助長すべく、先の那覇市議選、総選挙において地元支持者の協力を得て「オール沖縄=共産党」のチラシ配布と街宣を中心とした選挙活動を総力を挙げて行った。
 規模こそまったく違え、その願いにおいては、先の大戦で沖縄救出戦において全国から約11万人の陸海軍を総動員し、虎の子の戦艦大和さえ特攻出撃させた旧日本軍の思いに通じるものがある。
 その後米軍に占領され辛酸をなめた沖縄が返還されて50年となる22年。民意の選挙によってオール沖縄(=共産左翼勢力)から県政、市政を奪い返す闘いに勝利することこそ、我が国が真の自主独立国家となれるかどうかの試金石となる。

沖縄復帰記念式典
沖縄復帰記念式典(1972年5月15日、那覇市で)

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


中国に五輪開催の資格なし

東京で「緊急国民集会」とデモ行進

 令和4年2月に北京で開催予定の北京冬季オリンピックに反対する「北京オリンピックボイコット・緊急国民集会」(主催、同推進実行委員会、協賛、自由国民連合など)が12日、東京都内の日比谷図書館地下大ホールにて開催された。

 北京冬季オリンピックをめぐっては米国、英国、カナダ、オーストラリアがすでに「外交ボイコット」を表明。日本はまだ正式な態度を表明していないが、ボイコットを主張する国民集会は、政府の態度に影響を与えそうだ。
 集会では、大杉実生実行委員長は、次のように挨拶した。「オリンピックは『平和の祭典』である。オリンピック憲章第二項では﹃人間の尊厳性の保持﹄を明確に謳っている。しかし、共産党が指導する現在の中国には人間の尊厳性を保持する姿勢が微塵にもない。だから、誰かが声を挙げなければならないという思いで各団体に呼び掛けて大会に踏み切った」。
 その後、自治基本条例に反対する市民の会会長の村田春樹氏が基調演説を行い、「人権侵害を行っている国に、オリンピックを開催する資格はない」と北京オリンピックのボイコットを訴えるとともに、2014年2月のロシアのソチオリンピック後にロシアが3月にクリミア併合に踏み切った例を引用、北京オリンピック閉幕後に中国による台湾侵攻の可能性を示唆した。
 続いて各団体の代表者がボイコットを政府に要請する力強いメッセージと決意表明を発表、全会一致で合意して会は終了した。
 衆議院議員の杉田水脈氏、三ツ林裕巳氏、参議院議員の山田宏氏、和田政宗氏からも力強いメッセージが届けられた。
 集会後、約二百人(主催者発表)のデモ参加者が会場の日比谷公園に結集、数寄屋橋、銀座に向けて「人権侵害国家に五輪開催資格はない」「北京五輪反対の声をあげよう」などの横断幕を掲げて整然とデモ行進した。
 中国の人権侵害については、日本ウイグル協会の干田ケリム会長は、中国共産党が、「ジェノサイド」国家として多くの少数民族を虐殺しており、未だに止めることもなく続けている。ウイグルでは職業訓練所と称した強制収容所に百万人とも二百万人とも言われるウイグル人が収容されている。
 同収容所から出所した人たちの証言によると、収容所では拷問やレイプが繰り返されているほか、ウイグル人や中国の気功集団法輪功の信者は「臓器売買」のため生きたまま臓器を摘出されるなど、非人道的な行為が続いている。また、「民族浄化」と称して、漢人との結婚を強要されたり、子供を産めないように強制不妊手術を施されたりしている。中国共産党によるジェノサイドは、ナチスのジェノサイドとは比較にならないくらいの規模である。
 更に、中国プロテニス選手の彭帥さんが中国元副首相の張高麗により性暴力を受け、そのことをSNSに投稿し、告発すると、彼女は忽然と姿を消して行方不明となったという報道が世界中に広まった。未だに所在も元気かどうかも不明である。
 彭帥さんと電話会談したとされるIOCのバッハ会長は「彼女は圧政下に置かれているようには感じられなかった」と記者会見で話したが、女子テニス協会(WTA)は12 月1日、中国でのすべての大会中止を発表、男子プロテニス協会(ATP)も2日、WTAの決定を支持する声明を発表した。これに伴い、多くのスポーツ選手は、同事件に憤り「北京でオリンピック開催などとんでもない」と言い始めている。
 これに対し、中国はこれまで共産党系メディアを通じて「ボイコットすれば北京は必ず報復する」と威嚇している。IOCも「五輪とスポーツの政治化に断固反対する」との声明を出し、中国批判を避けたが、人権侵害を重く見る欧州、アジア諸国で「外交的ボイコット」に踏み切る動きが出ている。
 「五輪の開会式では、中国国家主席の習近平共産党総書記に対して儀礼とはいえ、敬礼をしなければならない。だから、開会式への参加には外交的にもボイコットすべきである」
 大杉実行委員長は、こう語り、北京五輪ボイコットに向けて決意を新たにした。
 同様のデモは、来年1月9日に福岡、1月23日には大阪で行われる。

基調講演をする村田春樹氏
大会で基調講演をする村田春樹氏(12月12日、日比谷図書館大ホール)

デモ行進する北京オリンピックボイコット支持者たち
「人権侵害国家に五輪開催資格はない」などの横断幕を
掲げて日比谷公園からデモ行進する北京オリンピックボイコット支持者たち(12月12日)
中部ブロック
毎月の勉強会と知事選、衆院選を目標に

 中部ブロックは自国連設立以前の2021年2月から①会員の意識高揚の為に毎月テーマを決めて勉強会を持つ②県知事選と衆院選で勝利することの二つを具体的目標にして活動をしてきた。
 勉強会は、三島、沼津、函南の3箇所を拠点とし、各地域で定期的に開催できるようにした。勉強会のテーマはスタッフで事前に10項目決めてアンケートを取り、要望の多かったテーマを中心に実施してきた。勉強会は次の通り。
 ①憲法改正について――西鋭夫教授のDVD視聴と意見交換
 ②偏向マスコミ(朝日、毎日、NHK)の実態︙︙ある議員のYouTube視聴
 ③中国の脅威――2回にわたって小林幸司自国連事務局長と小野寺敬一「和orld」編集長を招いて開催
 ④函南町の課題と歴史
 ⑤皇室について―12月18日、世日クラブのオンラインで視聴
 選挙応援活動については次の通り。
 ・6月20日投開票の静岡県知事選に向けて、事前に地方議員4人と共に会員20人余りが参加して対策会議を行った。約1ケ月の選挙活動に全力投入したが、結果は大敗。しかし、選挙期間中、特に真剣に活動している議員や会員と親密になったことは評価できる。
 ・10月31日投開票の衆議院選の応援
 「立憲共産党」のビラ3万枚配布、効果があった。至る所の街頭や集会所で候補者や応援している議員と会うことで強い絆が出来た。結果は応援した2人とも当選した!
 今年は、6人の主要スタッフと会議を定期的に持ちながら活動を進めて来た1年でした。三島、沼津、函南を拠点に活動してきたが、来年は中部ブロックとして県を超えて活動できるよう計画し、実行していく予定である。

三島の勉強会
三島の勉強会で県議会議員や市議会議員も参加。
中共の脅威について熱弁をふるう小野寺編集長
知事選
知事選では、『静岡に媚中知事はいりません』と書いて闘った
九州ブロック
会員拡大に集中

 九州ブロックは現在、会員数が約40人で、会員を育成して自国連の会員拡大を推進している。そこで、今後会員拡大、地域活動など活動範囲を広げて行く時、資金面で活動を制約せざるを得なくなる場合に備え、一方では経済基盤づくりを組織運営の重要なテーマと位置づけた。
 何といっても、組織力強化のための会員拡大が優先課題。会員で組織活動の中心課題を検討した時、自国連が目指す日本と世界の平和と繁栄を実現するには、まず個人としてよく学び、人格、品格を向上させ、同時に理想的な家庭を形成することが会員拡大の第一歩だとの一つの結論がでた。その結果、個人学習は勿論、知人、友人、有識者を家庭に招いて行う家庭集会や研修会を実施してきた。12月12日には佐野道治講師を迎えて今年最後の研修セミナーを開催。参加者14人で、うち8人が新規参加者だった。
 来年からは毎月一回のセミナー開催の予定で、会員拡大に邁進していく。

『民主主義に魂を込める─「天民主義」による日本再興』

自由国民連合教育局編集・発行

新刊紹介
民主主義に魂を込める

 国旗を掲揚し、国家を斉唱する。この国民として当たり前の行為が敗戦国日本では一時的に禁止され、使っていた教科書までもが黒々と墨で塗られた。1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約によって主権が回復したが、連合国総司令官総司令部(GHQ)の日本精神崩壊計画はしっかりと根を下ろし、戦後76年を経てもその呪縛から逃れられない現実がある。
 日本人の誇りを取り戻すにはどうしたら良いのか? 本年4月28日、主権回復の日に設立された自由国民連合は『令和維新宣言』を発表し、正面から日本再興に取り組むこととなった。この小冊子は、令和維新宣言の中核である『天民主義』を解説し、肇国の理想を掲げて出発した日本の国体が、いかに素晴らしいものであるかを分かりやすく解説したものである。
 日本人が育んできた『和』と『まこと』。この精神が世界の民主主義に喝を与える時が来た。真に平和を愛してきた日本人が自信を持って世界をリードしていかなければならい。「日本に生まれて良かった」そうした感動がむくむくと湧き上がる冊子である。来年4月28日は主権回復から70周年の記念日となる。愛国勇士の全てに強く薦めたい良書である。

会員募集

自由国民新聞5号 2021(令和3)年11月20日発行

改憲に潮目

総選挙後の絶妙布陣

安倍長期政権が実現しえなかった
改憲実行への動き次々

 10月31日投開票が行われた第49回衆議院選挙は、自民不利、野党連合有利との大方の予想をくつがえし、自民党が261議席を獲得、過半数どころか、単独で「絶対安定多数」を確保する結果となった。立憲民主党、共産党はともに、公示前の議席を減らし、代わって維新の会が4倍増と大きく議席を伸ばした。

岸田文雄首相
選挙後に第二次岸田政権の政策を発表する岸田文雄首相

 総選挙後、第二次岸田内閣は、小選挙区で敗れた甘利明幹事長の茂木敏充氏への交代とそれに伴う林芳正氏の新外相就任以外は留任となり、話題性の乏しい静かな船出となった。
 これを一変させたのが、維新の会と国民民主党両トップによる改憲推進発言だ。
 日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は選挙直後の2日、定例記者会見で、来夏の参院選までに憲法改正原案をまとめて改正を発議するよう促した。さらに、「国民投票を参院選の投票と同日に実施すべきだ」と述べ、より具体的な日程を提示した。 「(参院選の)投票率も上がるし、大きな選挙のテーマにもなる」という理由も述べた。
 維新の会は改憲論議を盛り上げ、次期参院選でのさらなる党勢拡大を狙っている。この危機の時代に改憲は票になる、と分析していることは明らかだ。
 また、安倍政権時代から改憲に賛成を表明していた国民民主党の玉木雄一郎代表も松井代表に呼応するように、テレビ番組やツイッターなどで「憲法改正の議論を進める」などと発言し、各党で早急に憲法論議を深めるべきとの態度を示している。
 両党は、吉村洋文副代表(大阪府知事)と、玉木代表が7日、フジテレビ系『日曜報道』に出演、憲法改正論議の促進を目指す考えで一致を見せた。
 吉村氏は「維新の会は改憲勢力だ。自民党は憲法改正を党是といいながら、実は一部の保守層のガス抜きのためにやっているようなもの。本気で憲法改正をやろうと思っていない。自民党のヤルヤル詐欺に付き合うつもりはない」と述べ、憲法改正論議を進めない自民党の煮え切らない態度を批判した。
 玉木氏も「自民党は本当にやる気があるのかと思うことが多々ある」と自民批判に同調、「憲法審査会は毎週開いたらいい。われわれは議論するために歳費をいただいている」と、自公与党で3分の2の議席を確保しながら改憲発議に踏み切れないで来た自民党の尻を叩く姿勢を示した。
 両党はまた、公式に具体的協議も行なっている。
 維新の会の馬場伸幸幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は9日、国会内で会談し、衆参両院の憲法審査会を毎週開くよう与党に求め、国会での改憲論議を加速させていく考えで一致し、国会対策や法案提出で連携していく方針も確認するなど、共闘を形にする作業を進行中だ。
 一方、自民党側は、岸田首相が10日、総理指名後の各党への挨拶で日本維新の会を訪問した際、馬場幹事長から憲法改正を要請され、「しっかりと頭に入れて努力する」と答えた。これは霞が関用語の「前向きに検討します=やりません」と同様に受け止められ、後退発言として批判された。
 こうした批判を受け、自民党は19日、憲法改正推進本部を「憲法改正実現本部」に改め、本部長に推進本部の本部長代行だった古屋圭司政調会長代行を充てることを決めた。
 岸田首相は首相官邸で古屋氏と会談し、「名称だけではなく、体制も変えてしっかりやる気を示そう」と指示。古屋氏は「(改憲を)実現することが大切だ。その覚悟を示していく」と記者団に語っている。
 実現本部の事務総長には、新藤義孝・衆院憲法審査会与党筆頭幹事が就き、本部内に新設する「憲法改正・国民運動委員会」のトップも兼ねる。国民との対話集会や遊説を活発化させ、改憲に向けた機運を高めたい意向だ。古屋、新藤両氏は、最大派閥・安倍派を率いる安倍晋三元首相と近い。
 自民党内では「改憲に向かう環境が整った」(幹部)との期待が高まっている。

日本維新の会の松井一郎代表
総選挙後の記者会見で
憲法改正の必要性に言及した
日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)
国民民主党の玉木雄一郎代表
憲法論議を深めるべきとの
態度を示している
国民民主党の玉木雄一郎代表
公明党外しも可能

 ここで注目したいのは、改憲をめぐる自民党と公明党の関係性だ。
 自民党のコアな保守系支持層にとって、公明党は厄介な存在だ。公明党を与党から切り離せという主張は以前から根強い。
 最近では、6月16日閉会した通常国会で、国会での採択が検討されてきた、中国政府によるウイグル族などに対する人権侵害への非難決議が不成立に終わった。共産党でさえ賛同していた同決議が実らなかったのは、与党協議で公明党が反対したからだ。もちろん自民党内親中派との結託によるものではあるが、公明党への配慮の結果であることは間違いない。
 自民党の党是であり、国家としての最重要課題である憲法改正でも、自民が緊急事態条項創設や自衛隊明記を重視するのに対し、公明はいずれに対しても消極姿勢(反対)を崩していない。
 改憲勢力として国会で3分の2以上の与党議席を抱え、7年8カ月の長期政権をほこった安倍政権が改憲に踏み切れなかったのも、オールドメディアと結託し、「安倍政権下での憲法改正は許さない」として、モリカケ、桜などさまざまな野党の妨害よりも、与党公明党への配慮が憲法改正への推進力を鈍らせてきた。
 安倍元総理が憲法9条の問題で、元の条文は触らずに「自衛隊」の存在を「加える」から改定ではない「加憲」だなどと称して抜本的改憲ではなく中途半端なものになっているのは、かまえて公明党のせいである。何かにつけ公明党が親中媚中となり、日本の国益に反する行動をとるのは、国民の生命、財産を守るためには危険すぎる。
 しかし、今回の改憲の動きを数的に見ると、面白いことが分かる。10月の総選挙で各党が獲得した議席数を検討すると、自民261、公明32、維新41、国民11となっている。
 公明は現在与党である関係上、自民と並ぶ「改憲勢力」とみなされることが多いが、実体は「改憲反対派」である。そこで公明党を除き、自民、維新、国民を足してみると、313議席となり、改憲発議に必要な「3分の2=310議席」を3議席も超える。
 つまり憲法改正に公明党の協力は必要ない、との結論になる。自民党は親中反日の公明党のご機嫌や顔色をうかがうことなく、本当に現代日本にとって必要な憲法改正を行なうことが出来る。
 これこそ総選挙の厳粛な結果としての「天の配剤」と呼ぶべきものではないだろうか。占領下の連合軍による押しつけ憲法制定から73年。ついに自主憲法制定への潮目が来た、とみるべきだろう。

尊皇愛国・反共救国・保守団結・国際連帯 ── 自由国民連合


自民全選挙区4議席確保

3区島尻氏、初当選 辺野古移設「容認」へ民意変化

衆院選沖縄選挙区

 第49回衆院選の沖縄選挙区は、1区、2区では共産党、社民党がかろうじて議席を守ったものの、3区、4区で自民党が接戦を制したほか、1区、2区でも比例復活し、全区で自民が議席を獲得した。沖縄の民意は、従来の米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する基地問題を争点にしてきた玉城デニー知事を支持する共産主導の「オール縄」勢力よりも、コロナ対策、経済復興を主張した自公政権の継続に評価を下した。基地の移設工事が進む名護市を抱える3区で移設容認する自民新人の島尻安伊子氏(56)=公明推薦=が初めて勝利したことは、自公にとって意義深い。来年の1月の名護市長選をはじめ、夏の参院選、秋の知事選に向けて、保守・自公勢力に大いに弾みがついた。

自民の勝利を報じた地元紙(11月1日付)
自民の勝利を報じた地元紙(11月1日付)

菅義偉前首相と島尻安伊子氏
菅義偉前首相とグータッチを交わす島尻安伊子氏
自公、来年の参院選、知事選へ弾み

 今回の衆院選は、これまで名護市辺野古で是非を問う基地問題よりも、新型コロナウイルスの対策と、感染拡大で長期的に落ち込んだ経済の立て直しや貧困対策、来年からの次期沖縄振興計画が主な争点となったのが特徴だ。コロナ禍で県民意識が変わってきた。
 共産が小選挙区で唯一議席を持つ1区では、共産の志位和夫委員長や小池晃書記長のほか、玉城知事、城間幹子那覇市長ら「オール沖縄」勢力が総動員で応援に駆け付けた。共産の赤嶺政賢氏(73)=れいわ推薦=陣営は、党よりも「オール沖縄」を前面に出し、9年間の安倍、菅政権を「強権政治」と批判、「政権交代」の争点化を図った。立憲民主党と「限定された閣外協力」合意の取り付けに成功した共産にとって、革命第一段階の「民主連合政権」樹立を視野にいれた沖縄選挙区での議席確保は必須だったからだ。
 これに対し、自民の国場幸之助氏(48)=公明推薦=は、「基地問題だけが沖縄の問題ではない。コロナ対策、経済の立て直し、次期沖縄振興計画など現実的に取り組む課題は山積している。私にはできる」と、岸田文雄首相の派閥議員として政権与党の強みを強調したが、及ばなかった。しかし、7月の那覇市議選での自民勝利を基礎に、最後まで票集めに尽力し、九州ブロック比例で復活した。
 自民敗北の要因の一つに、元自民党衆議院議員で維新の会を除名になった無所属の下地幹郎氏(60)の出馬問題があった。下地陣営は、25年の政治実績と自民党復帰による保守一本化を訴えたが、自民党県連が拒否、党本部の現職優先の方針にも関わらず1区出馬に固執して、保守分裂を招いた。前回より得票を減らして落選、保守勢力に対する共産への利敵行為にでるという政治生命を危うくする事態を招いた。下地氏が現状を考慮して、保守一本化を優先させれば、国場氏は、共産に勝てたはずである。自民県連としても課題を残した格好だ。
 社民唯一の選挙区での議席を持つ2区は、普天間飛行場、嘉手納基地に連なる選挙区で、これまで革新が圧倒してきた。前職照屋寛徳氏の地盤継承の「後継候補」で社民新人の新垣邦男氏(65)に対して、自民前の宮崎政久氏(56)=公明推薦=が三度目の挑戦。宮崎氏は、新垣氏の知名度の低さを踏まえ、衆院3期の実績を訴え、大票田の浦添市、宜野湾市の首長を選対本部長に迎えて保守、無党派層の浸透を図ったが、約1万票及ばなかった。
 今回2区では、日本維新の会の候補者が突如立候補、約1万5千票得票した。維新支持の保守層が宮崎氏に回れば、社民の新垣氏から議席を奪取できた可能性が高い。今後、自民は維新との調整が必要となろう。宮崎氏は善戦し、比例復活を果たした。
 今回の選挙で最大の焦点は、3区だった。これまで自民が一度も議席を確保したことのない3区、しかも玉城知事の選挙地盤で、2019年の衆院補選で敗退した島尻氏が辺野古移設「容認」を掲げて、前回と同じ候補で基地反対の立民前職の屋良朝博氏(59)にどこまで迫れるか、注目された。
 「前回の選挙とは、県民、市民の反応が全く違う。市民は基地問題よりも、コロナ対策、景気回復、子育て、貧困対策など経済振興に関心があることを実感した。必ず勝ちます」
 投票日前日の打ち上げで、こう語り、県民、市民の考えが、基地よりも経済に変化しているのを肌身で感したという。
 島尻陣営によると、島尻氏は19年の落選後も3区支部長として、3区地域を精力的に回り、元沖縄担当相の経験を生かして政府与党との連携による沖縄振興予算獲得に励んできた。その結果、名護東道路を開通、沖縄自動車道から名護市街地までノンストップで行けるようになった。貧困対策、子育て支援も手掛けた。
 一方、屋良陣営は、基地問題を最大の争点にし、基地建設に反対する「オール沖縄」とともに、「基地建設反対」「政権交代」を訴えたが、市民に届かなかった。
 これに対し、島尻陣営の応援に、菅義偉元首相、河野太郎党広報部長が駆け付け、島尻氏の政治実績をアピールした。特に菅氏の街頭演説には多数の人が詰めかけた。名護市の道路完成は、菅氏が前回の名護市長選で約束したもので、この夏に完成させた。
 基地問題については、菅氏は言及しなかったが、島尻氏は、「辺野古移設問題は、普天間飛行場の危険性除去が第一であり、市民の安全を確保することをまず考えるべきである」と、一刻も早い危険性の除去を伴う移設の必要性を強調した。島尻氏の当選で、移設「反対」から「容認」が民意となった。
 島尻氏勝利の要因の一つとして、公明の影響が大きい。沖縄県の公明はこれまで党本部とは違って、辺野古建設に「反対」を打ち出していた。だが今回は、公明県議が県議会で「普天間飛行場の危険性除去が重要」と発言、「容認」と受け止められる態度に代わってきた。これにより、「選挙区は島尻、比例はこうめい」の選挙戦術に以前にも増して力が入った。
 公明は、比例代表九州ブロックで県出身の金城泰邦氏(52)が初当選し、16年ぶりに県内から議席を獲得した。
 来年1月に市長選を控える名護市の渡具知武豊市長は、島尻氏の当選を受けて「(有権者は)辺野古の問題への賛否で投票を決めているわけではないのではないか」との見解を示した後、辺野古工事で「県民の意識が微妙に変わってきているのではないか」と述べ、基地問題に対する県民意識の変化に言及した。
 4区は、自民候補が選挙区で唯一当選した区。自民で沖縄担当相の西銘恒三郎氏(67)=公明推薦=が、「オール沖縄」の支持する立民新人の金城徹氏(68)を約1万5千票の大差をつけて議席を守った。西銘氏は、沖縄担当相を背景に次期振興計画、来年度予算確保など幅広い沖縄政策で市民の期待に応えようとした。これに対し、金城氏は、「オール沖縄」の全面的支援を得て故翁長雄志元知事の遺志を引き継いで基地移設反対に重点をおいた政策を市民にアピールしたが、遠く及ばなかった。
 今回の衆院選は、県民が、翁長氏が打ち出した基地反対の「オール沖縄」勢力へ「NO」を突き付けるとともに、沖縄発展のための現実的政策を選択したことを浮き彫りにした。基地反対を重点政策にし、コロナ対策など現実的な対応に乏しい玉城県政への不信任の表れでもある。
 「この度は、いろいろな面で協力ありがとう。いい選挙になりました」(自民党県連幹部)
 選挙期間中、「オール沖縄=共産党」と街宣で強く訴え、チラシ巻きなどの運動をしてきた自由国民連合沖縄県支部。各選挙区で自民候補勝利に少なからず影響を与えたことは間違いない。「反共救国」「保守団結」を掲げる自由国民連合の沖縄での今後の活躍が期待される。

1区で比例復活した国場幸之助氏
1区で比例復活した国場幸之助氏
(11月1日午前1時 国場選挙事務所で)

沖縄選挙区立候補者一覧(届け出順)

▼1区
当  赤嶺 政賢(73)  共産    前8  令和推薦  61,519
比  國場 幸之助(48)  自民  前4  公明推薦  54,532
下地 幹郎(60)  無所属  前6   29,827
▼2区
当  新垣 邦男(65)   社民  新   74,665
比  宮崎 政久(56)   自民  前4  公明推薦  64,542
山川 泰博(51)   維新  新   15,296
中村 幸也(41)   NHK党  新   3,053
▼3区
当  島尻 安伊子(56)  自民    新  公明推薦  87,710
屋良 朝博(59)   立民  前1   80,496
▼4区
当  西銘 恒三郎(67)  自民    前6  公明推薦  87,671
金城 徹(56)    立民  新   72,031
会員募集

自由国民新聞4号 2021(令和3)年10月20日発行

政権選択選挙

自民の指針示した「高市公約」

自由民主主義か、共産党「民主統一戦線」か

 第49回衆議院議員総選挙が19日公示、31日投開票の日程で行なわれている。与野党は、選挙公約を発表、定数465(うち小選挙区289、比例代表176)の議席をはげしく争う。今回選挙は、選挙区で野党第一党の立憲民主党が共産党を含む野党連合の候補一本化戦略をとったため、岸田文雄新総裁率いる自民党との一騎打ち選挙区が多く、全国的に鍔迫り合いの様相を呈している。自民は、9月29日の総裁選挙で頭角を現した高市早苗政調会長の政策を盛り込んだ公約で、有権者に党の真意を問い正した。共産党と組んだ野党一本化の選挙戦略に騙されてはならない。

「自民党政権公約」を発表する高市早苗氏
「自民党政権公約」を発表する高市早苗氏(高市早苗公HPより)

 総裁選の熱気冷めやらぬ中、早期の総選挙戦に臨んだ自民党は10月12日、高市早苗政調会長が新型コロナ対策をはじめ、経済、防衛などを8本の柱にまとめられた政権公約を記者発表した。
 高市氏は冒頭挨拶で、「国の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと、領土・領海・領空・資源を守り抜くこと、国家の主権と名誉を守り抜くこと」と公約の目的を力説した。この発言は、自身の総裁選出馬記者会見の時とほぼ同一文言で、党の公約の中に、個人の公約における高市氏の政治姿勢が盛り込まれていることを明らかにした。
 党の公約作成は、総裁でも幹事長でもなく、政調会長の重要な役割であり、高市氏はその立場をフルに活用して、思い切り高市カラーを盛り込んだ。作成過程では岸田総裁(首相)と緊密に連絡をとり、了承を得ながら進めたとしながらも、作成実務の主導権を握って党の意見を取りまとめて公約を作り上げ、自民党の方向性を打ち出した。総裁選に続き、政治の方向性を左から右へシフトする、ゲームチェンジャーとしての役割を果たしたことになる。
 高市氏によると、当初の高市原案に対し、岸田首相側から注文がついたのは、岸田氏が総裁選で掲げていた「デジタル田園都市構想」を盛り込むこと。その要望は受け入れたが、総裁選で岸田氏の目玉公約とも言えた「令和版所得倍増計画」は、党公約には盛り込まれなかった。
 高市氏は同日の記者会見で「政策は実現できてこそ。絵に描いた餅であってはならない」とし、「実行力、実現力をいずれの政党が持っているのか、(投票の)判断材料していただきたい」と、暗に野党の口だけポピュリズム公約を批判した。
 岸田首相に気をつかう立場ならば、所得倍増政策などは魅力的スローガンとしてトップに掲げてもおかしくないはずだが、それが耳に心地いいだけで実現性の低いものだと判断した(高市氏に近い筋)。この一事をもってしても「高市公約」は実行の伴うものであり、信頼できることを示している。
経済安保と防衛政策が特徴
 他党や過去の自民党公約に比して、今回総選挙公約で最も特徴的なのは、経済安全保障と防衛政策である。
 経済安全保障には、機微技術漏洩の防御と技術開発支援が含まれる。「大胆な危機管理投資・成長投資」が織り交ぜられ、「安全が確認された原子力発電所の再稼働やSMR(小型モジュール炉)の地下立地などクリーンエネルギーへの投資を積極的に後押しする」と記された。高市氏がこれまで取り組んできた海外からのサイバー攻撃からの防御などの安全保障の強化にも重点が置かれた。
 また、防衛費については、根拠のない「GDP(国内総生産)の1%枠しばり」にとらわれず2%以上を目標に増額を目指すとしている。これは、中国の急激な軍拡による軍事力を背景とした一方的な現状変更など、激変する安全保障環境に対応するため、わが国自身の防衛力を抜本的に強化するためである。ここで、「中国」という国名を明らかにしたことを見逃してはならない。
 外交では、「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進に向け、日米同盟を基軸に、豪、印、ASEAN、欧州、台湾など自由と民主主義、人権と法の支配という普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化するとしている。
 また、台湾のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加盟申請を歓迎し、WHO(世界保健機関)総会へのオブザーバー参加を応援する、と述べている。ここでも、タブーとされてきた「台湾」の名称を明示して、本気で取り組む姿勢を見せた。
「次期首相」への試金石
 総裁選後の党人事で、岸田総裁によって高市氏が政調会長に任命されたとき、一部自民党重鎮らから「高市外し」ではないかとの疑問が出された。岸田氏の跡を確実に狙うとみられる高市氏を目立たない位置に置こうとしたのではないか、という疑惑である。安倍晋三元首相周辺からは、高市氏を財務相か外相の重要閣僚、または幹事長職、あるいは内閣で常に記者会見を開き国民への露出度が高い官房長官ポストに就けるべきとの要望があったにもかかわらず、党三役とはいえ政府の役職ではなく、国民への存在を示しにくい党務に回されてしまったからだ。
 しかし、今回の党公約作成で高市氏が果たした役割を見ると、今後の自民党の方向付けを見事に果たしたことで、まさに適材適所であった、と見ることができる。高市氏には米国国会の下院議員の元で、立法スタッフとして働いたキャリアがあるためだ。国際的視野で国法を作る能力がある。
 この公約が選挙の結果として国民に受け入れられるかは自民党にとっての試金石となるが、高市氏にとっても「次期首相」に向けてのハードルとなることは間違いない。
共産と組んだ立民に連合反発
 一方、野党側は、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の4党が9月8日に市民連合の「衆議院選挙における野党共通政策の提言」に合意、213選挙区で野党系一本化を実現した。しかし、立民の枝野幸男代表は、政権交代した際には「単独政権」にすると言明、共産とは「限定的閣外協力」の立場を貫くとした。しかし、共産の協力をえて立民が議席を増やした場合、共産の「侵攻」が政策面で強化するのは間違いない。今回の合意は、将来「社会主義革命」を目論む共産が事前に打ち出す「民主統一戦線」戦略の下で行われていることだからだ。
 これに対して、立民の支持母体である日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長が「共産党の考え方は、連合としては到底受け入れられない」と立民と共産との接近を批判。これを受けて全トヨタ労働組合連合会(全ト、35万8千人)が立民離れを表明、愛知11区の立民の古本伸一郎前衆院議員が不出馬を余儀なくされた。連合の中には自公と連携を深める労組が出てきて、共産と組んだ立民に対する労組の視線は厳しくなった。
 立民の公約は、「格差の是正」「一億総中流社会」「消費税の引き下げ」「富裕層の金融課税強化」「分配を最優先とする経済政策」「普天間飛行場の辺野古移設中止」など共産の公約とあまり違いがない。ただ、日米安保条約、自衛隊の憲法上の解釈、皇室については異なる。立民と共産の協力関係は、まさに二律背反の「立憲共産党」ともいうべきだ。
 「自由民主主義の思想で運営される政権と、共産主義が初めて入ってくる政権と、どちらを選ぶかという政権選択だ」
 自民の甘利明幹事長は今回の選挙をこう位置付けた。
 実現不可能に近いポピュリズム公約を盛り込んだ野党連合を選ぶか、現実的で実現可能性の高い公約を掲げた自公政権を選ぶか。共産が政権に組み込まれるような政権を決して選択してはならない。


「自公」対「オール沖縄」総決戦

自公は共産と社民から議席奪還できるか

衆院選沖縄選挙区

 第49回衆院選は19日告示され、沖縄選挙区は1~4区で政権与党の自民、公明と革新系「オール沖縄」が激突している。自公が推す保守系候補は新型コロナウイルス対応と経済政策をアピールする一方で、革新勢力は政権批判を強めながら基地問題を争点化しようと躍起になっている。自公連立発祥の地、沖縄で自公が議席を取り戻すか、共産主導の革新共闘体制が議席を確保するか。全国で唯一、共産と社民の候補が選挙区で当選している沖縄だけに、全国的に注目が集まる。来年9月に実施される県知事選の試金石となる。

選挙応援
岸田首相夫人の裕子さんの応援を受けて気勢を上げる自民の国場幸之助氏と公明の金城泰邦氏

 事実上共産党が主導する「オール沖縄」は革新共闘体制で、立憲民主2人(3、4区)、共産(1区)、社民(2区)がそれぞれ1人擁立する。前回2017年の衆院選は1~3区で革新候補が勝利し、4区の西にし め 銘恒三郎沖縄担当相=自民=が接戦を制したのみだ。
 当時は、「米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対」で知事に当選した翁長雄志氏が立ち上げた「オール沖縄」に勢いがあった。このため、小選挙区で共産と社民が唯一議席を確保した。共産党の志位和夫委員長が「沖縄方式で勝利する」と強気の発言をするのも沖縄での小選挙区勝利があるためだ。
亀裂生じる「オール沖縄」結束を強める公明
 18年に故翁長前知事の県政を継承するとして玉城デニーが「オール沖縄」を支持母体として知事に当選したが、3年間指導力の乏しい玉城知事を見かねて、ここにきて「オール沖縄」勢力に亀裂が生じ、支持基盤が縮小傾向にある。
 7月の那覇市議選では、自民党が6人から10人に議席を伸ばした一方で、共産党現職が2人落選した。「オール沖縄」の実権を握ろうとする共産党に対して、「オール沖縄」勢力内部で対立があったからと言われている。
 こうした中で注目されるのが、公明の動きだ。「選挙区は自民、比例は公明」。沖縄では自公セットの選挙戦を徹底している。公明は、新型コロナウイルス緊急事態宣言下でのスキャンダルで辞職した遠山清彦氏のあと、沖縄県出身の元県議・金城泰邦氏が九州比例に立候補した。金城氏の当選のためには、全区で自民候補が得票を伸ばすことが肝要なことから、公明は組織的で強力な選挙運動を展開している。
経済復興か基地移設反対か
 最大の焦点は、共産が唯一小選挙区議席を持つ1区だ。1区は前職3氏による三つどもえの激しい選挙戦が繰り広げられている。過去2回連続で、基地移設反対を訴え、保守分裂による漁夫の利を得た形で共産の赤嶺政賢氏(73)が当選した。今回は、「比例は公明」とがっちり手を組んだ國場幸之助氏(48)=自民=が、コロナ対策と経済振興を公約して、その流れを止められるか。一方、IR誘致の収賄疑惑で日本維新の会を除名され、自民復党を求めて自民県連から拒否された下地幹郎氏(60)=無所属=は、「当選して自民の追加公認をもらう」と意気込んでいる。保守分裂で、國場氏は、大票田の那覇市で市議選の得票数に上乗せできるかが勝負だ。
 もう一つは、小選挙区で社民党議席の2区だ。2区は革新牙城で、参院1期衆院6期の合計24年務めた社民前職・照屋寛徳氏(76)が老齢のため引退。後任の新人で前北中なかぐすく城村長の新垣邦男氏(65)=社民=は、知名度で劣る上に、「オール沖縄」勢力が弱体化する中、「盤石な戦いとは言えない」(新垣選対)。これに対し、2期連続で比例復活の前職の宮崎政久氏(56)=自民=は、「今度こそは選挙区当選を」と決意を固めているが、最近の世論調査では10ポイントほど水をあけられ、厳しい戦いだ。
 普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古を抱える3区も注目。3区は玉城知事の地盤で、前職の屋良朝ともひろ博氏(59)=立民=に、新人で元参院議員で沖縄担当相を務めた島尻安あ いこ伊子氏(56)=自民=が挑む。19年の衆院補選では、島尻氏は、知事選に出馬した玉城氏の後継として無所属で出馬した屋良氏に敗北した。今回は、菅義偉前首相が現地入りし、島尻氏応援に駆け付け、経済振興の必要性を訴えた。あくまで基地移設反対に固執するのか、未来の経済復興を目指すのか、有権者の選択が問われている。
 前回の衆院選で唯一「オール沖縄」勢力が敗れた4区は米軍基地がない沖縄本島南部と離島地域からなる。元自民の那覇市議で、翁長雄志前知事を保守側から支えた金城徹氏=立民=を立てて、保守票の取り込みを狙う。一方、西銘氏は現職閣僚として負けられない戦いになる。宮古島と石垣島への陸上自衛隊配備計画をめぐっては、西銘氏は推進、金城氏は住民合意のない配備には反対と主張している。
 「絶対に4区は落とせない。できれば二つは取りたい」と意気込む自民党県連幹部。「少なくとも三つ、できれば全区で勝って知事に勢いをつけたい」と期待する「オール沖縄」陣営のある県議。
 今回の衆院選は、来年9月に実施される県知事選の試金石となるのは間違いない。

沖縄選挙区立候補者一覧(届け出順)

▼1区
名前 党派 新旧 当選回数
赤嶺 政賢(73)  共産  前  7回
國場 幸之助(48)  自民  前  3回
下地 幹郎(60)   前  6回
▼2区
宮崎 政久(56)   自民  前  3回
中村 幸也(41)   N党  新 
新垣 邦男(65)   社民  新 
山川 泰博(51)   維新  新 
▼3区
屋良 朝博(59)   立民  前  1回
島尻 安伊子(56)  自民  新 
▼4区
西銘 恒三郎(67)  自民  前  5回
金城 徹(56)    立民  新 

第9回台湾出身戦没者顕彰祭

「日本と台湾は、兄弟であり親戚」

第9回台湾出身戦没者顕彰祭に参列した関係者
第9回台湾出身戦没者顕彰祭に参列した関係者

 先の大東亜戦争で戦没した約3万5千人(死者約2万人、行方不明約1万5千人)と言われる日本国籍の台湾出身者を顕彰する第9回台湾出身戦没者顕彰祭が10月17日、沖縄県糸満市の摩文仁の丘にある台湾の塔前で行われた。昨年同様、コロナ禍のため、参加人数を制限する中、台北駐日経済文化代表処那覇分処の范振國処長はじめ関係者約40人が集まった。顕彰祭は例年、沖縄の「慰霊の日」の翌日に行われていたが、コロナ禍の影響で10月となった。
 祭事は、沖縄県波の上宮の大山晋吾禰宜が祭主として祭詞奏上したあと、范処長、一般社団法人日本台湾平和基金会の西田健次郎理事長、日本李登輝友の会の辻井正房副会長、琉球華僑総会の江夏禄栄会長、太田守糸満市議会議長らが代表して玉串を奉奠した。
 祭事の後、参加者の交流会が行われた。范所長は、「沖縄でこうした顕彰祭が毎年行われることに台湾人を代表して感謝したい」と述べるとともに「来年は、コロナ禍が衰退し、台湾と沖縄の人が祭典に多数参加して交流できることを期待したい」と語った。
 また、大阪から参加した辻井副会長は、「私も遺族の一人だからやってきた。日本と台湾は兄弟であり、親戚のようなもので、台湾の有事は日本の有事である」と述べ、最近の台湾海峡の軍事的緊張の中で英霊に対する顕彰祭を行う意義を強調した。
 催事の途中、日本統治下の台湾で生まれ育ちながら、戦後に日本国籍を喪失したのは不当として日本国籍を有していることを日本政府に確認を求めた日本国籍確認訴訟の原告の一人、楊ようふくせい馥成さんが参加。楊さんは、「私は自分が日本人だということを片時も忘れたことはない。日本軍属として戦ったことで日本国籍を求めている人が今も台湾にいるという事実を日本人に関心を持ってほしいとの願いで今回の訴訟に踏み切りました」と、訴訟の動機と経緯を説明した。
 自由国民連合としては、中国共産党の台湾への軍事的侵攻を警戒するためにも、日本と台湾との関係重視を訴えるとともに、中国共産党の対日工作の拠点の最前線が沖縄であり、沖縄と台湾との歴史的、人的交流が重要であることを確認するものである。

楊馥成(ようふくせい)
顕彰祭に参加した台湾人元軍属の楊馥成(ようふくせい)さん

ご寄付の御礼

 自由国民連合の設立以来、当連合の活動に対して、日頃から格別のご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
 この夏、那覇市議会選挙支援のために、皆様には並々ならぬご寄付を賜り、ご芳志のほど誠に有難く、厚く御礼申し上げます。お陰様で、自国連として保守団体と連携して選挙運動に全力で投入することができ、保守陣営が多数当選した一方、共産党現職市議2人を落選に追い込み、保革逆転を実現することができました。
 当連合は、「尊皇愛国」「反共救国」「保守団結」「国際連帯」を目標にして、日本と世界の平和と自由、繁栄と幸福の実現のために献身的努力して参る所存ですので、今後とも一層のご支援を賜れば、幸甚に存じ上げます。

令和3年10月吉日
自由国民連合
事務総長 松永純宗

会員募集

自由国民新聞3号 2021(令和3)年9月20日発行

 自民党総裁選 

高市氏 女性初首相へ急加速

危機の時代のゲームチェンジャー

 菅義偉総理の自民党総裁任期満了にともなう総裁選挙は17日告示され、届け出順に河野太郎(58)、岸田文雄(64)、高市早苗(60)、野田聖子(61)の各氏が立候補、29日投開票の日程で実施されている。党所属衆参国会議員一人1票の383票と110万を超える党員・党友383票の計766票で争い、一回目の投票で誰も有効票の過半数を得なければ、上位二人の決戦投票で総裁が決まり、実質的に第100代日本国首相が選出されることになる。

共同記者会見に臨む4人の候補者
共同記者会見に臨む4人の候補者=17日、東京都千代田区の自民党本部

 菅総理は正しい判断をした。
 総裁選出馬の意思を表明していた菅氏が9月3日突然、立候補取り止めを発表、党と国民に大きな衝撃を与えた。菅内閣は7月、8月と支持率を下げており、30%を割る世論調査も出る始末。年内の総選挙に向け、野党連携による憲政史上初の共産党与党政権誕生まで危ぶまれる情勢にあった。
 とりわけ安倍晋三前首相人気によって当選してきたとされる3年生以下の若手議員たちには、「選挙の顔が不人気の菅首相では自分自身の再選ができなくなる」との動揺が走っていた。
 菅氏の不出馬発表で、半年先の経済状況を先取りするといわれる株式市場は、現金にも一気に500円以上値を上げた。
 これにより少なくとも2人の候補が決定的影響を受けた。1人は河野氏である。それまで現役閣僚であるために、現役総理に対して反旗は翻せないと出馬困難状態にあったのが一転、出馬可能となった。
 もう1人が高市氏。高市氏は、8月10日発売の月刊誌『文藝春秋』に「総裁選に出馬します!」と題する論文を掲載し、実質的な出馬宣言。さらに『美しく、強く、成長する国へ。私の「日本経済強靭化計画」』(WAC文庫)を政策集として出版した。
 これらが火付け役となって、YouTube番組に出演するなどして、高市ブームを予感させた。高市氏が自民党のコアな支持層である保守派がまさに実現してほしい政策を連発したからだ。景気浮揚策としてインフレ率2%達成までプライマリーバランスを一時凍結して財政出動するとした。これは中途半端に終わったアベノミクスの強硬版だ。予算配分権と税務署の捜査権を武器に、省益のため政界を支配する財務省に対する明らかな挑戦でもある。
 高市氏は、憲法改正にも当然言及する。特徴的なのは、従来の9条問題ばかりでなく、コロナ禍でまさに実感した緊急事態条項の必要性を国民の生命を守る安全保障問題とからめて、現行憲法の欠陥として訴えていることだ。さらに、気候変動などにより大型化する災害リスクの軽減に政府が思い切った投資をして国民の生命と財産を守る。だけでなく、そこで生まれた土木・建築の新技術などを海外に輸出して外貨も稼ぐ、という一石二鳥的政策だ。
 高市氏のリスク管理には民生、軍事の両面が含まれる。日本人にとって、日本が開発した先進技術で、外国から武力攻撃の危険にさらされることほど不条理はない。
 外国とは、中国である。日本は、中国の軍事大学などから留学生を招き、大学や各種研究所で学ばせ、軍事的にも経済的にもきわめて貴重な機微技術をやすやすと持ち帰らせてしまう。日本は民生技術として研究開発するが、中国はそれを軍事技術にも転用するからその損害とリスクはあまりにも大きい。
 最近話題となった「極」超音速滑空ミサイルはその典型だ。「極」というのはマッハ10にもなる超音速で、滑空というのは超低空で曲がりくねりながら飛ぶから、レーダーにはかからないし、イージスといっても迎撃のしようがない。目標に設定されて発射されたならその都市は確実に壊滅する。そのミサイルの外殻を作っているのが日本原産技術の耐熱素材で、これは典型的な経済安全保障問題の一つである。
 また、「日本経済強靭化計画」では、高度な防衛をしながら経済的にも豊かになるという視点を与えてくれた。
 こうした高市氏の助走の中、9月3日の突然の菅首相の不出馬宣言に一早く反応したのが、安倍前首相である。すぐに「高市早苗支持」を明確に打ち出した。これこそが菅首相の「正しい判断」の理由である。安倍氏は堂々と高市氏の応援団長になることができ、「総裁選勝ち抜こう」と激励の言葉を送った。さらには今、派閥をまたいで、有力な議員に高市氏支持を全力で訴えている。これにより高市氏の知名度も存在感もぐっと高まった。
 これで高市氏の人気上昇を見てとった他候補は、その政策や言動を高市氏に寄せ始めるという現象が起こり、 日本のあらゆるリスクに対し明確な経済安全保障政策を打ち出す高市氏は、危機の時代のゲームチェンジャーとなった。
 これを際立たせたのが、8日の出馬会見であった。高市氏は冒頭、高らかに「私は国の究極の使命は国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと、領土領海領空資源これを守り抜くこと、そして国家の主権と命を守り抜くことだと考えております。その使命を果たすために私の全てを懸けて働くことをお誓い申し上げます」と宣言、続いてサナエノミクスを中心に、細部まで練られた政策を分かりやすい言葉で語った。
 メモを見るわけでもなく、数字や根拠や実態を交え、中国や北朝鮮をリスクと見て研究開発費をふくむ防衛費増額の必要性を訴えた。①(中国の)サイバー攻撃からの防衛②衛星、電磁波攻撃、無人機、極超音速兵器の開発、③場合によって金融制裁などでの反撃、④尖閣を守る為に自衛隊と海保が動ける法整備など環境確立、⑤敵基地を一刻も早く無力化できる法整備―-などと矢継ぎ早に話した。
 また皇室皇統問題では男系一系のみを強調し、日本にとっての天皇のご存在の重要性を改めて示した。「靖国参拝問題」でも、「首相に就任しても参拝する」と言明した。
 エネルギー政策についても不安定な供給になりがちな再生可能エネルギーに向かうばかりでなく、安定した高品質の電力開発投資が日本の高度な物づくり技術維持、成長産業育成にも必要とした。
 この会見はいくつかのメディアがノーカットでYouTubeにアップし、再生回数は他候補の9倍を超えた。では、他の三候補はどのような政策を掲げているのか。
 河野氏は今のところ、新聞・テレビなどオールドメディアの評価では総裁選レースのトップを走っているが、主な主張は、「日本を前に進める」「人に寄り添う政治」「温もりのある社会」など「高校の生徒会長選挙の演説のような」(政治評論家)中身に深みがない。
 外務大臣として韓国に厳しいことを言い、行政改革大臣としてはハンコ減らしに歯切れのいい発言をしていたものの、総裁選になると、従来主張していた脱原発や女系天皇容認については態度を一変、前言を翻すような言い訳をするなど、当初の「改革者」のイメージが薄くなり、「本音がよく分からない。信用できない」(自民党員)と前評判に陰りが見えてきた。
 また、最低保証年金を打ち出しているが、「その財源を消費税でもいいのではないか」と発言、増税論者あることが明らかになった。さらに、ここにきて、父洋平氏や実弟が関係する企業が中国との貿易に深いかかわりがあるとの事実が表面化し、河野一族と中国共産党との関係が注目されている。
 早々と立候補宣言した岸田氏は、総裁を除く党役員の任期を1年、連続3期までにすることを公約。この発言で親中派の重鎮、二階幹事長おろしに実質成功した。また、岸田派の若手を中心に「新しい日本型の資本主義」=成長と分配の好循環、小泉内閣以来の新自由主義経済からの転換、令和版所得倍増、分配機強化など総裁選に向けて準備を進めてきたが、各政策に具体性が欠けるのは否めない。
 四度目にしてやっと推薦者20人を集めて立候補できた野田氏は「人口減少を止める」「子どもへの投資」などを主な政策とする。しかし、永田町では「河野候補の票を1票でも減らすための当て馬」、地元では「(総裁選出馬は)総選挙で何とか生き残るための自己宣伝」(自民党関係者)と全体的に評価が低く、総裁候補としては論外との見方が強い。

各陣営推薦人名簿(衆参50音順)

  • 河野太郎
    • 麻生派:阿部俊子 高橋ひなこ 中西健治(参)
    • 石破派:平将明 古川禎久
    • 細田派:義家弘介 穴見 陽一
    • 竹下派:野中厚 山下雄平 宮崎政久
    • 二階派:伊藤忠彦 岡下昌平
    • 石原派:石原宏高 坂本哲志 上野 賢一郎
    • 無派閥:武村展英 伊藤達也 島村大 田中良生 園田修光(参)
  • 岸田文雄
    • 麻生派:鈴木俊一 山際大志郎 今井絵理子(参) 猪口邦子(参)
    • 竹下派:鈴木隼人 西銘恒三郎 渡辺博道 二之湯智(参)
    • 細田派:高木毅 吉野正芳 宮本周司(参) 森雅子(参)
    • 谷垣G:加藤鮎子 本田太郎
    • 無派閥:石田真敏 大野敬太郎 梶山弘志 土屋品子
    • 岸田派:根本匠 堀内詔子
  • 高市早苗
    • 細田派:佐々木紀 高鳥修一 馳浩 佐藤啓(参) 山谷えり子(参) 山田宏(参)
    • 二階派:小林茂樹 小林鷹之 山口壮
    • 竹下派:木原稔 小野田紀美(参)
    • 無派閥:石川昭政 城内実 黄川田仁志 古屋圭司 青山繁晴(参) 衛藤晟一(参) 片山さつき(参)
  • 野田聖子
    • 二階派:大岡敏孝 神谷昇 出畑実 福井照 三木享 岩本剛人(参) 清水真人(参) 鶴保庸介(参)
    • 竹下派:百武公親 石井準一(参) 元栄太一郎(参) 渡辺猛之(参)
    • 石原派:宮路拓馬
    • 無派閥:木村弥生 渡海紀三郎 浜田靖一 柘植芳文(参) 徳茂雅之(参) 三原じゅん子(参) 山田俊男(参)

令和維新の推進は九州から

九州ブロックで結成集会開催

 自由国民連合(自国連)九州ブロックは8月28日、福岡県久留米市の久留米リサーチパークセンターで、福岡県、熊本県、大分県から約50人の有志を集め、結成集会を開催した。ブロック結成集会は、4月28日自国連設立以来、6月14日の関東ブロックに続いて2ブロック目。(九州ブロック=原田啓一)

久留米市で行われた九州ブロック結成集会
久留米市で行われた九州ブロック結成集会

 集会では先ず、自国連の紹介ビデオが上映された後、松本孝三国家戦略本部長が開会の挨拶、「昨今の混乱する政治情勢の中で、従来の保守勢力にない、正しく強い日本の行くべき道を推進しようとする政治団体として自由国民連合が設立された」と語り、自国連の設立意義と九州ブロック結成集会の重要性を強調した。
 続いて、阿部正寿総裁によるビデオメッセージが上映された。同総裁は「日本をむしばんでいる最大の要因は共産主義思想であり、これを克服するために一人一人が立ち上がって欲しい」と語り、軍備拡張、領土拡大を図る中国共産党と戦う姿勢を示すとともに、中国共産党崩壊に向けて国際的な連携が必要であることを強調した。また、「令和維新は明治維新に続き、先ず九州からのろしを挙げて欲しい」と述べ、九州ブロックの今後の活躍に期待した。
 当日のメインスピーカーとして松永純宗事務総長が登壇。同事務総長は①日本が抱える諸課題と克服②大化の改新、明治維新、令和維新の意味③天民主義の必要性④日本の行くべき基本方針――などについて分かりやすく解説、「戦後、日本人が失った国家意識と愛国心を取り戻し、この混迷を打開するために自由国民連合が結成された」と語り、設立意義を再度強調した。また、設立発起人のひとりである阿部総裁のこれまでの国内外での活動実績とともに自国連設立への命懸けの決意を披露した。
 最後に、江頭廣樹九州ブロック長と伊藤大地福岡県支部長に松永事務総長から任命状が授与された。

集会に参加した松永純宗事務総長(左)と江頭廣樹九州ブロック長
集会に参加した松永純宗事務総長(左)と江頭廣樹九州ブロック長

 江頭ブロック長は、九州ブロック結成集会まで尽力された有志の方々に感謝の言葉を述べるとともに、「自国連活動、令和維新を九州ブロックから発展させたい」と力強い決意を示した。伊藤支部長は入会案内と今後の活動方針や展望を説明した。
 集会後は主催者と参加者の懇親会を行った。参加者から自国連に対する歓迎と期待を寄せる声が上がり、「これから各地域で集会を開催して欲しい」などと要望があった。
 「今回の集会開催に際し、コロナ渦で参加を躊躇される方もいましたが、多くの皆様に自国連結成についてお知らせし、少しでも内容を知っていただき、支持を得ることが出来ました。これを機に、九州でも活動を本格的に展開していきます」
 集会を準備してきた伊藤支部長は、九州ブロック活動の抱負をこう語った。

忌憚ない意見の交換

意思疎通深化図る

第2回自国連スタッフ研修会

 自由国民連合(自国連)の第2回スタッフ研修会が8月21日から3日間の日程で、東京都内のリフレフォーラムで理事、局長、支部長ら全国から25人を集めて行われた。スタッフによる自国連の理念、戦略、方針、行動計画の共有とスタッフ間の意思疎通の深化が目的で、阿部正寿総裁の講話をはじめ、有識者の講演、局長らの講義とスタッフ同士による意見交換が行われた。(関東ブロック=小林賢三)

 有識者ゲストとして、政治活動家の村田春樹氏と文芸評論家の小川榮太郎氏が講演した。
 村田氏は初日、「今さら聞けない皇室のこと」と題して講演、万世一系の皇統の価値と重要性を強調するとともに、江戸時代最後の孝明天皇はじめ明治天皇、大正天皇、昭和天皇、そして上皇様から今上天皇に至る皇室の血筋、即位の背景などを詳細に説明した。「皇后」と「皇太后」、「陛下」と「殿下」の違いなども分かりやすく解説した。
 小川氏は最終日に講演し、戦後の日本の民主主義の起源について、昭和天皇が1977年に記者会見で「五箇条の御誓文」を引用されたことについて解説。「それ(五箇条の御誓文を引用すること)が実は、あの詔書の一番の目的であって、神格とかということ(=いわゆる「人間宣言」)は二の問題でした。民主主義を採用されたのは明治天皇であって、日本の民主主義は決して輸入したものではないということを示す必要があった。日本の国民が誇りを忘れては非常に具合が悪いと思って、誇りを忘れさせないためにあの宣言を考えたのです」との昭和天皇の発言を引用、日本の民主主義の原点が明治天皇の五箇条の御誓文にあることを指摘した。
 阿部総裁は、「『令和維新』次世代への日本の国家戦略」と題して講話、「日本が抱える課題と克服」に始まり、天民主議を基礎とした「日本の姿」、自国連が目指す「令和維新」とは何か、歴史的見地、文明史的見地から見た「世界における日本の立場」などをテーマに内容を説明、自国連の存在と活動の意義を力説した。
 本部スタッフからは、磯田道男教育局次長が近日発刊する予定の自国連の「小冊子」について解説したほか、松本孝三国家戦略本部長、小野寺敬一情宣局長が過去から現在の主な政治運動の推移と現在の中国を中心とした国際情勢について講義した。
 講演、講話の合間に、スタッフ全員参加によるテーマ別の「ディスカッションの時間」が何度も設けられ、参加者は自国連の理念、戦略、活動方針などについて激論、忌憚のない意見の交換、人的交流を深めた研修会最後に、阿部総裁から参加者全員に研修会終了証明書と役職の任命書が授与され、参加者は新たな決意で帰路に就いた。

講演する村田春樹氏
講演する村田春樹氏
講演する小川榮太郎氏
講演する小川榮太郎氏
阿部正寿総裁
阿部正寿総裁

「自国連」の小冊子発刊へ

目指すものを明らかに

 自由国民連合(自国連)は、去る令和三年四月二八日の発足式において尊皇愛国、反共救国、保守団結、国際連帯の四大目標を定めました。いずれも現代の危機を乗り越え日本再興のために欠かすことの出来ない目標です。自国連はこの四大目標を更に具体化し、私達の目指すものを明らかにするために、順次小冊子を発刊することを決定いたしました。
 第一号はこの四大目標の必要性、および自由国民連合が提唱する天民主義の理念を解説するもので、これで「自国連とは何か?何を目指しているのか?」の概要を理解していただけるものと思います。第二号は現代の日本における諸課題を20項目ほどとりあげ、それについて自国連はどう見るのかを解説いたします。これには、日本精神、国家の本質、天皇、皇位継承、憲法、家庭の価値、世界の趨勢、安全保障、海洋国家、国連、グローバリズム、共生社会、大東亜戦争、教育、国家と宗教の関係、メディア、経済など、我が国の根幹に関わる事柄を始めとして、各米・中・韓・露等々の国との外交関係についても概説していきたいと思います。第三号以後は、それぞれのトピックごとにさらに踏み込んで、歴史的背景から現今の時事問題に至るまで、自国連の考えるところを提示していく予定です。
 小冊子は携帯に便利ですぐに読み切れる数十ページの小型製本とし、単刀直入簡潔明快を旨として順次刊行してまいります。勉強に渉外にご活用いただけますようご愛用のほど、よろしくお願いいたします。

会員募集

自由国民新聞2号 2021(令和3)年8月20日発行

共産2議席減「オール沖縄」衰退

沖縄県那覇市議選 自民・保守勢力の台頭

 秋に予想される衆議院選挙の沖縄一区の行方を占う那覇市議会議員選挙(定員40人、立候補者63人)の投開票が7月11日行われ、これまで7議席を確保して「オール沖縄」をリードしていた共産党が2議席を失い、自民党は現有の6議席から10議席に躍進した。投票率は46・40%で、補選を除き日本復帰後、最低だった。(那覇市=結城悟)

 今回選挙では、共産党ら「オール沖縄」勢力の現市長与党が現有15人から1人を減らし14議席となった一方で、自民党ら野党は19人が当選、現有の13議席から6議席を増やした。この結果、2017年の前回から4年間で「オール沖縄」の衰退ぶりがさらに顕著となった。
 野党勢は、自民党10人、公明が7人全員当選し、自公で17人。「保守系中立議員4人が当選後、自民党に復党または入党を希望している」(県連関係者)と言われ、それが実現すれば自公で過半数の21議席を確保でき、那覇市の議会運営の主導権が、これまでの「オール沖縄」勢力から政権与党の自公に移ることになる。
 自民党が今回、公認12人、推薦1人の13人候補者を立てたのは、「票が割れるので候補者10人程度でいいのではないか」(自民党県連関係者)と反対した県連の主張を押し切った、沖縄第一区選出の代議士・国場幸之助氏の衆院選に向けた強い決意の表れだった。
 国場氏は、手元の選挙結果票に目をやりながら、こう語る。
「今回の那覇市議選は、秋の衆院選の前哨戦と位置づけ、議席の確保はもとより、得票数の増大を目標に戦った。次の選挙で、共産党に負けるわけにはいかないからだ」 前回(2017年)の選挙で翁長雄志前知事(故人)の影響力で自民党から離党した16人の「新風会」の議員は、その後、同会を離脱、独自の会派をつくるなど「中立」として議席を確保してきたが、今回の選挙で「新風会」の残党は1人となり、かつて影響力を示した「翁長派」は那覇市議会で皆無に等しくなった。「翁長県政を継承する」として「オール沖縄」勢力を味方にして当選した玉城デニー知事にとって、来年9月に予定されている知事選挙に暗雲をもたらす結果となった。
 この状況に対し、国場氏は「那覇市は、もともと自公の発祥の地ですから、何としても自公の主導権を取り戻さなければならないと常々考えてきた。それが今回実現した」と語り、その顔に少し笑みが見えた。
 今回の選挙を得票数でみると、自民は2万5254票で、前回の1万8080票に対し、7174票増加した。これに対し、共産は1万2808票で、前回の1万5838票から3030票減少し、2人落選した。ちなみに、公明は1万6578票に対し前回2万1699票で5121票減少したが、7議席を確保した。
 特筆すべきは、共産が今回、「オール沖縄」票を獲得できなかったことが明らかになったこと。コロナ禍の影響もあっていつもの地方からの動員の目論見がはずれたほか、市民に対して「オール沖縄」の内実が共産党であることが明白になったことに加え、コロナ対策、ワクチン確保などの対策で玉城デニー知事と城間幹子那覇市長らのリーダーシップのなさが歴然となって、もはや有権者にとって「オール沖縄」勢力に魅力がなくなったと「NO」を突き付けた格好だ。
 また、「オール沖縄」の名称を前面に掲げて戦ったのは共産だけで、他政党の与党候補者は、「オール沖縄」を前面に出さなかった。自民県連関係者によると、「オール沖縄」は、主導権争いで共産と他党との間で分裂している。簡単には元通りになる情勢にはなく、この現象は、一区だけでなく、他の3選挙区でも同様だという。
 2017年の衆議院選で、一区では自民の国場氏は5万4468票に対し、共産の赤嶺政賢氏が6万0605票獲得、6137票差で涙を飲んだ。今回の那覇市議選で得票数で、自民は共産に約1万2000票の差をつけた。数字の上では、現時点で選挙をすれば、国場氏が赤嶺氏を凌駕する可能性が高い。
 「国政選挙と地方選挙は選挙構造が異なる。戦いはこれからだ」
 国場氏は口を真一文字に引き締めた。

正しく強く美しい日本を!!── 《自由国民連合》

街宣、ビラ配りで保守勢の団結訴え 自国連の選挙活動活発に

 【那覇発】今回那覇市議選で、保守勢力の団結を呼びかける自由国民連合が6月5日から21日間にわたり、県庁、那覇市役所周辺を中心に「オール沖縄=共産党=中国共産党=県民の敵」を訴えて街宣活動を実施しました。また、「オール沖縄」の実態を盛り込んだチラシ約5万枚を那覇市内に戸別配布も行われました。
 沖縄那覇市は新型コロナによる緊急事態宣言下にあり、街はいつもより人通りが少なく、静かになっていましたので、その分、街宣のスピーカーの声は広く良く響き。大勢の選挙民の耳を奪いました。
 街宣のポイントは、「オール沖縄」とその要を自認する日本共産党の欺瞞性と危険性を分かりやすく説き、沖縄那覇の県民市民の自由と独立と人権を護り抜くため今こそ共に立ち上がりましょう! と訴えることでした。「みんなの力で、コロナ中共ウィルスを一掃して参りましょう!
 中国共産党と兄弟党である日本共産党と親中共オール沖縄の欺瞞に騙されない様にしましょう! 私達の沖縄を第二のチベット、第二の新疆ウイグルにしてはなりません! 那覇を第二の香港にしてはなりません! 沖縄から新日本の再建を!」
 こうした呼びかけを英霊の皆様の思いも込めて訴えさせて頂きました。とくに、現県政、市政が左派のオール沖縄の影響下にあり、親中派で中国との交流が活発であることから、日本有数の武漢コロナ感染地域となっている事実を指摘する作戦は、コロナで苦しむ市民の心に強く訴える効果があったようです。
 保守関係者からは「連日街宣とビラ配布の選挙に与えた影響力は無視できない」「市民からの共産党離れを促したのは間違いない」などと高い評価を得ることができました。
 日々繰り返されている尖閣諸島領海への中共人民軍配下の海警武装船による傍若無人な侵犯行為は、沖縄県民全体に安全保障への危機感をどこよりも身近に感じさせています。その上に重ねてこの度の新型コロナウィルスは、生物兵器として武漢のウィルス研究所で研究していたものが漏洩したものであることの訴えは、想像以上に人々の心をとらえました。
 武漢の事実を隠蔽していたことが、世界に被害を拡大させ、特に親中共路線の国と地域が感染被害を強く受けることとなり、全国でも沖縄の感染被害が酷いのもそのためであり、これを招いて来た「オール沖縄」と日本共産党の責任は重大かつ、恥を知るべきことであり、それを逃れることは出来ないのです。
 自国連のこの活動には、全国の支援者の皆様からの多大なる浄財をあてさせていただきました。戦後76年、来年には祖国復帰50年を迎える沖縄において闘って来られた愛國憂国の志の方々の協力と、全国「自由国民連合」の同志の方々の支援に心から感謝申し上げます。

なぜ今「自由国民連合」が必要か

【主 張】

自由国民連合総裁 阿部正寿

  • ▼日本の敗戦の原因

     昭和二十年八月十五日、昭和天皇は『終戦の詔勅』を発布し、大東亜戦争は終了した。そして大日本帝国も終焉を迎えた。日本は何故この大戦で敗けたのか。その原因はさまざま考えられる。
     国力の差、軍事力の差、資源の有無等であるが、日本敗戦の最大の要因は、軍部内の不統一と、近衛文麿内閣における共産主義者の内部工作により、日中戦争のドロ沼に引きずり込まれたことが最大の要因である。
     最後は米国が投下した二発の原爆で、日本は降伏した。
     大日本帝国は、長い人類史の中で、天の祝福によってできたものであったが、先の大戦での戦略方針に誤導があり、これにトドメを刺したのがアメリカであった。

  • ▼敗戦は日本にとって良かったか悪かったか

     歴史にifは許されないというが、結果的に見て、敗戦は日本にとって良いことと悪いことがあった。良い面としては、自由と民主主義の導入によって、国民は自由思想を学び、経済が繫栄し、生活も豊かになった。世界第二位の経済大国にもなり、ノーベル賞受賞者が二十七人を数えるほどの科学技術大国にもなった。
     しかし悪かったという側面もある。それは自由や民主主義が個人主義や利己主義に堕し、愛国心は失われ、社会全体の質が低下して国全体が崩壊に向かっている。
     これは米国の占領政策として、日本の弱体化を目指したからである。さらにそれを悪用した反日左翼や中国・韓国・北朝鮮等の反日工作浸透の結果である。特に日本メディアの反日化、教育界の左翼偏重化は横暴を極めている。
     我々がこれを座視すれば、経済大国となった共産中国の日本支配は目前に迫っている。大東亜戦争で国のため若き生命を捧げた二百四十万人の英霊達に対し、また国土の七割を焦土とされたどん底状態の中から不死鳥のように日本を復興させた先人達に、何の顔あって向き合うことができるだろうか?
     この有形無形未曾有の危機状況こそ、我々が今「自由国民連合」を立ち上げ『令和維新』を行わんとする理由である。

  • ▼「自由国民連合」と『令和維新』の目指すもの

     日本の歴史においては、「大化の改新」によって国家が成立し、「明治維新」によって日本は近代国家になった。以来百五十年、日本は戦前において五大国の一つになり、戦後はG7(先進七カ国)の一つとなった。
     日本が明治維新以後、世界に冠たる大日本帝国となり得たのは、人類史的使命を果たすべく、天による祝福があったからである。一部の人々はこれをアジアを侵略した悪の帝国であるとして教育されたために、そのように信じ込まされているが、これは全くの誤りであり、天による祝福の賜物であったことを正しく理解すべきである。
     こうした歴史的事象を踏まえた『令和維新』の目的は「自由国民連合」を国民運動として展開することにあり、天民主義を基盤として国家を再建しようとすることにある。天民主義とは、主権は国民だけのものではなく、天孫降臨された天皇家と国民が一体となって国家を共同統治することである。これとは真逆となる天皇家と国民を分離させようとする左翼理論は、全てを階級に分裂闘争させ、権力を奪おうとする共産主義の誤った論理である。
     このため「自由国民連合」は次の四つの方針を定めている。

    • 一、尊皇愛国
    • 一、反共救国
    • 一、保守団結
    • 一、国際連帯

     戦後七十六年、日本は愛国心を喪失して来たと言っていいだろう。
     この克服のため、我が国は天皇家を国民の精神的支柱として結束し、国力を増強し、国軍を創設して日本は再び強大国になるべきである。
     これを最も嫌うのが中国であり、それに従属姿勢を見せる隣国韓国である。美しい伝統と歴史ある私たちの国日本を護り、世界に貢献すべく発展させるためには、悪意に満ちた外敵と、それらと相応する国内の反日左翼勢力を一掃することが肝要である。
     大東亜戦争もコミンテルンに主導された共産主義者の内部工作によって敗戦に至ったのだが、今日はそれと比較にならないほど左翼勢力が跳梁跋扈している。この一掃はそれこそ簡単ではないが、我々は必ずこれを成し遂げる。そのチャンスは今しかない。
     そのためには、国内の愛国保守人士を団結して命懸けの決戦をやらなければならない。この世界史的一大事業は、日本一国だけの問題ではなく、日本と同じ価値観を共有する国家と共同して、唯物共産主義によるアメリカを含む世界侵略からの解放と、自由と人権と法を遵守する国家群による新しい世界の創造を目指すのである。
     政策の具体例は本稿の左隣記事をご参照いただきたい。

●自由国民連合の主な活動計画

  1. 日本弱体化を狙ったGHQ(連合国最高司令官総司令部)の占領政策の影響を排除し、国体皇室の伝統(男系による皇位継承など)を堅持する世論の喚起
  2. 憲法改正・自主憲法制定の実現
  3. スパイ防止法(知財保護法)の制定
  4. 北方領土返還、竹島奪還、尖閣諸島の死守防衛
  5. 台湾関係法を制定し、台湾を絶対死守
  6. 日本における防衛力を強化し、そのための軍事的、法的整備の推進
  7. 中国共産党によるウイグル、チベット、南モンゴル、香港における少数民族および自国民への差別、弾圧、虐殺、臓器収奪などの人権問題の解消
  8. 沖縄県をはじめとし戦略的重要自治体における選挙への積極的な応援
  9. 日・米・台・豪・印・英とともに海洋秩序と自由貿易体制を堅持し、世界の安全保障に寄与
  10. 真実を正しく国民に伝えるメディアの正道を求める
  11. 百年の大計を図る人材を育てる教育を目指す
  12. 外国人の公務員就職への規制条項を設ける
  13. 「慰安婦」問題、「徴用工」問題、南京「虐殺事件」などの歴史認識の誤謬を糺す
  14. 中国共産党の打倒を目指す、中国の民主化運動に協力し連帯する
【話題の書籍】
まんが『誰があなたを護るのか─不安の時代の皇(すめらぎ)』

原作・青山 繁晴、監修・ 新田 均皇学館大学教授、 日本の尊厳と国益を護る会、作画・ヒロカネプロダクション

 日本の根っことなる天皇のご存在とは? その皇位継承とはどうあるべきなのか? 主人公の女子高生、永峯あかりが旅する壮大な歴史探究まんが。
 一系皇位継承の安定、中韓による国土浸食の阻止、スパイ防止法の制定――を掲げ、自民党内で衆参67名の議員が参加する「日本の尊厳と国益を護る会」(護る会)の代表・青山繫晴参議院議員(作家)が原作、島耕作シリーズの漫画家・弘兼憲史氏のヒロカネプロダクションが作画を担当した「皇位継承まんが」が分かりやすく感動的として、話題をよんでいる。
 女性天皇と女系天皇の違いさえ分からずに、日本のかなめである皇位継承を論ずるのは無謀と批判してきた青山氏が「まんが」の形をとって、天皇と日本人との関係性をストーリー仕立てで解説した。「天皇について学校で教えてくれない」ことを最大の問題視していた青山氏と護る会が、天皇を身近で大事な存在として歴史的、学術的な事実に基づき、ビジュアル的に訴え、中高校生にもアピールしている。
 「天皇陛下のご存在のほんとうの意味、そしてその皇位を正しく継承するためには何をどうすべきか、これについて、ぼく自身を含めて日本国民は誰も、どなたも、学校で教わっていません。政府も黙ったままです。オールドメディアはもちろん知らん顔です。この現実に苦悩した果てに、考えたのは、まんがで伝えようということです」(青山氏)
 そして、「日本のもっとも深い危機は、天皇陛下のご存在を続けられるかどうかという危機です」と主張。タイトルにあるように、「民衆を護るのが天皇であり、日本は天皇に護られた民衆のくに」だから「天皇を護るのが世界の理念」であることを全編を通して訴えかけている。
 「私心を捨て、ひとのために生きる」。その誠に普遍的な理念を体現される生き方のまま、126代にわたって続いている、日本の天皇陛下。世界がうらやむ日本の至宝を護るために、我々の理解しておかねばならないことを、このまんがが丁寧に示唆してくれている。
(扶桑社・刊、定価1760円)

まんが『誰があなたを護るのか─不安の時代の皇(すめらぎ)』

自由国民新聞創刊号 2021(令和3)年6月20日発行

大化、明治に続く第3の「令和維新」を

代表に加瀬英明氏、約20 団体が参加

 昭和二十七(一九五二)年四月二十八日サンフランシスコ平和条約発効により日本が主権を回復し、国際社会に復帰してからちょうど六十九年目の令和三年四月二十八日、憲法を改正し、自主独立国家を目指す新たな国民運動「自由国民連合」(略称=自国連)の発会式が東京・千代田区永田町の憲政記念館で行われた。自国連は、日本史の大きな転換点だった「大化の改新」、「明治維新」に続く第三の維新を「令和維新」として、①尊皇愛国②反共救国③保守団結④国際連帯――の四つの精神の基に日本再興を目指す。

 司会の開会宣言に続き、自国連の紹介動画が会場に流れた後、松永純宗事務総長が自国連設立までの経過を報告した。
 外交評論家の加瀬英明氏は発会式挨拶で、「日本は今自主独立国家の気概を失ってしまったが、今日の発会式に掲げられたスローガンには『自主独立国家を目指し自主憲法を制定しよう』と書かれている。憲法改正にはまだ時間がかかるとは思うが、自衛隊法を改正し自衛隊の呼称を変えるのは今すぐにでも出来る」と憲法改正の早期実現の必要性を強調。「五年十年後には、自国連がこの日発足し、日本がこんなに良くなったと皆で喜べるようにご一緒に戦っていきたい」と運動に対する抱負を述べた。
 これに先立ち阿部正寿総裁は、設立に至るまで尽力した関係者に感謝を述べた後、「本日は発会式だが、令和丸の進水式だ」として日本の新しい保守国民運動の船出であると決意を表明。「(国会やマスコミなどの)獅子身中の虫を駆逐し国を動かすには保守団体の皆様と連携していかねばならないと感じ、この自国連を設立した」とし、保守陣営の協力を呼び掛けた。
 来賓として参席した拓殖大学教授のペマ・ギャルボ⽒は、「北京政府は二〇二五年にはアジアを制覇、四九年には世界制覇すると断言している」として中国共産党の領土拡大の脅威を指摘、日本で自国連が保守陣営と団結して中共の脅威に対抗してほしいと激励した。
 また、日本沖縄政策フォーラム理事長の仲村覚氏が登壇。「この十年間、沖縄は日本の一部だという運動をやって来ました。十年目にしてこの様に日本を愛する保守団体を連携しようとする集まりに招かれ、感無量であります」と自国連との連携に意欲を示すとともに、来年行われる沖縄祖国復帰五十周年式典の企画を紹介、「自国連との協力を得て、盛り上げていきたい」と語り、自国連の協力を呼び掛けた。
 発会式当日は天候にも恵まれ定員八十名の会場は満員状態。主に地方在住の支持者ら四十名がインターネットを通して参加した。
 式最後には自国連設立を支持、賛同したおよそ二十の保守団体の代表が登壇、「令和維新宣言」が宣布され、東京都葛飾区議会議員である鈴木信行・日本国民党代表の音頭で万歳三唱し発会式は閉幕した。

自主独立国家目指す新たな保守国民運動「自由国民連合」が発足

大会発言要旨

  • 外交評論家 加瀬英明氏

     先日エリザベス女王の伴侶フィリップ公が亡くなられウインザー城で王家の葬儀を行いました。その際見事な中庭に陸海空軍の将兵一千名が煌びやかな軍服に身を包み行進して、海軍将校であられたフィリップ公に別れを告げました。私はこれを見て軍こそ一国の魂であると確信しました。軍を軽んずる国は必ず外国の属国として生き延びるようになります。
     日本は自主独立国家の気概を失ってしまいましたが、今日の発会式に掲げられたスローガンには「自由独立国家を目指し自主憲法を制定しよう」と書かれています。私は憲法改正にはまだ時間がかかるとは思いますが、自衛隊法を改正し自衛隊の呼称を変えるのは今すぐにでも出来ます。そこから先ずやって頂きたい。五年十年後には今日、自由国民連合が出来てそれにより日本がこんなに良くなったと皆で喜べるようにご一緒に戦っていきたいと思います。

  • 阿部正寿総裁

     本日は発会式ですが、日本の新しい船出であると私たちは理解している。令和丸の進水式である。50年程前に出版されたスイスの民間防衛に関する書籍に、如何にして共産主義者が他国を工作、侵略するかが書かれている。それによると、武力を使わないで他国を侵略する段階という項目がある。
     第一段階が工作員を敵陣営に送り込み、上層部の掌握と洗脳に努める。第二段階、宣伝工作、メディアを利用して大衆を先導する。第三段階、教育の支配。国家意識を崩壊させる。第四段階は、抵抗意識を破壊する。平和や人類愛をプロパガンダとして使用し市民を誘導する。第五段階、教育やメディアを利用して自分で考える力を奪う、プロパガンダに対する抵抗感をなくする。第六段階では大量に移民をさせてその国、地域を乗っ取る。日本は六段階目の最終ステージに達して既に内部に共産勢力への協力者が多数いる状況だと思う。獅子身中の虫を駆逐し、国を動かし、本来の日本を取り戻すためには、一団体では難しい。
     このため保守団体の皆様と連携していかねばならないと決意し、この自国連を設立しました。共産勢力と戦わずして勝利はない。尊皇愛国、反共救国の旗印のもと、保守団結、国際連携の思想でこの運動を進めていきたい。皆様のご協力お願いします。

  • ペマ・ギャルポ拓殖大学教授

     一九六五年に日本に来て以来中共の脅威について語り続けて来ました。最近では南モンゴルの教育問題、ウイグルのジェノサイドを通してよく知られるようになり、ウイグル議連、チベット議連に続き最近は南モンゴル議連もできました。本当に喜んでいます。
     また、北京政府は変わらず悪行をし続けて来ましたし、領土拡張主義を辞めておりません。二〇二五年にはアジアの覇権を制覇すると断言しています。そして二〇四九年には世界制覇すると言いきっています。アジアの自由と民主主義の為この団体を中心として日本が独立国家として存在感のある国として認められるようになって、アジアの国々と連携してもらいたい。

  • 仲村覚・日本沖縄政策フォーラム理事長

     十年間沖縄は日本の一部だという運動をやって来ました。十年前は本土の民間団体では沖縄の本土復帰を祝う団体も皆無でした。十年目にしてこのように日本を愛する保守団体を連携しようという集まりに招かれ、ご挨拶ができることは感無量であります。
     病気になると体の弱いところに症状が出るように、沖縄は日本全体の問題、弱点が一番わかりやすく出る場所です。逆に沖縄をしっかり見ていると日本の問題に素早く対処できます。来年は沖縄祖国復帰五十周年のお祝いを企画しています。できれば政府と協力し天皇皇后両陛下もお招きして日本国民全体でお祝いする年にしたいと思っています。
     沖縄は一時アメリカに占領されましたが、たかだか二十数年で日本に奇跡的に戻ってきました。他にはそのような場所はありません。大東亜戦争で全国民を挙げて沖縄を死守する為に闘い、占領後も沖縄県民が日本を恋い慕って運動し続けたので起こった奇跡です。
     五十年前のその精神に我々も立ち返り日本復興の渦を起こさねばなりません。沢山の企画がありますので、自国連の皆様の協力を得てぜひ盛り上げて行きたいと思います。

「令和維新宣言」発布で尊皇愛国など4大指針発表

 自由国民連合は会発足を前にした四月二十八日「令和維新宣言」を発布し、同志の参集を呼び掛けた。民主主義の危機を訴え、日本の衰退を嘆き、浸透圧力を高めて勢力を増す共産主義を克服するため、我が国の土着的伝統精神に根ざす「天民主義」の復活と拡大を強く主張している。

 全文以下の通り──。
  今日世界は、中国発コロナウイルスの猛威のもと大混乱に見舞われている。一方、国際情勢を見れば、米中対立は深刻の度を加え、一触即発の危機に瀕している。さらには国際共産主義勢力やグローバリズム及びその他の勢力による工作により、民主主義も衰退の一途を辿りつつある。ひるがえって日本はどうか?
 一時は世界第二位の経済大国を誇ったが、今や人口減少や高齢化、経済停滞等により衰退の道を辿りつつある。しかし、日本衰退の真の原因は、これらの外的な要因にあるのではなく、根本的な要因は、戦後七十六年間にわたって失われてきた、日本精神の喪失によるものである。これは内外の共産主義勢力や、その他の悪徳勢力による絶え間なき侵略活動の結果である。
 このような状況で日本を再建する道は、もはや時代遅れの民主主義ではなく、天を中心とした天民主義によらなければ道はない。天民主義を基礎として日本再興を目指すのが「令和維新」である。これは日本史にある「大化の改新」(六四六年)、日本近代化を成し遂げた「明治維新」(一八六八年)に続く第三の維新と位置付け、日本再興の最後の道であると考える。「令和維新」は次のことを中心目標と定める。

  • 一、尊皇愛国
  • 一、反共救国
  • 一、保守団結
  • 一、国際連帯

 このような旗印のもと、我々愛国の勇士が結集し、自由国民連合を発足させた。我々は、この運動を活発に展開することによって、日本と世界の平和自由、繁栄と幸福のため献身的努力を尽くすことをここに誓い、高らかに宣言する。

令和三年四月二十八日
自由国民連合

対共産主義には正しい歴史観と宗教マインド必要

【解  説】
 本宣言は、自由国民連合の設立および自らの存在意義そのものを日本と世界に問うものである。同連合は、この宣言によって、その活動の中心命題を明確に「尊皇愛国」「反共救国」「保守団結」「国際連帯」の四つにおいている。
 「尊皇愛国」は国民の精神的支柱を、神話時代からの理想的ガバナビリティーシステムであり、人類史上屈指の大発明といえる「天( 神)と直結する皇すめらぎ」のご存在に置き、敬愛し、愛する祖国繁栄の基となそうとするものである。その典型的エピソードが仁徳天皇の「民の竃かまど」伝説である。
 この日本型統治スタイルは江戸時代の「領民のために領主がいる」という形でも連綿と続き、今日にまで至っている。
 奴隷制度を作らない天皇と臣民との関係性を天が祝福しているのは、少し情緒的言い方になるが、今上陛下の即位式。各国からの招待客が見守る中、土砂降りの雨が瞬時に止み、一気にピーカンの晴天となり、あまつさえきれいな虹さえかかってしまう奇跡。
 その逆に、万世一系を危うくする女性宮家論などが出たタイミングで、内親王の婚約問題でとんでもないスキャンダルを起こす人物が現われ、ふくらみかけていた皇室潰しの陰謀が見向きもされなくなってしまったことなど、まさに天の計らいとでも言うほかはない。
 この「すめらぎ」を抱く大和の国には「天民主義」がある。明治維新を導いた吉田松陰は「人君の天職は、天民を治むるにあり」と言い、篤農家・二宮尊徳は「それ農夫は天子の民なり、藩侯の衰邑を余に託する所以は、天民を安んぜんと欲するなり」と言っている。
 天民である国民はどこかの国のように、奴隷には決してならない。「反共救国」「保守団結」「国際連帯」唯物主義の塊である共産主義の狡知に打ち勝つには、天民主義のような宗教マインドが必須となる。文化破壊を狙って来る敵には正しい歴史観も必要になる。今こそ保守連合が必要な時。日本の保守団体よ、尊皇愛国の下に一つになれ。世界の保守団体よ、国を超えて一つになれ。とこの「令和維新宣言」は必死に訴えている。

●自由国民連合の主な活動計画

  1. 日本弱体化を狙ったGHQ(連合国最高司令官総司令部)の占領政策の影響を排除し、国体皇室の伝統(男系による皇位継承など)を堅持する世論の喚起
  2. 憲法改正・自主憲法制定の実現
  3. スパイ防止法(知財保護法)の制定
  4. 北方領土返還、竹島奪還、尖閣諸島の死守防衛
  5. 台湾関係法を制定し、台湾を絶対死守
  6. 日本における防衛力を強化し、そのための軍事的、法的整備の推進
  7. 中国共産党によるウイグル、チベット、南モンゴル、香港における少数民族および自国民への差別、弾圧、虐殺、臓器収奪などの人権問題の解消
  8. 沖縄県をはじめとし戦略的重要自治体における選挙への積極的な応援
  9. 日・米・台・豪・印・英とともに海洋秩序と自由貿易体制を堅持し、世界の安全保障に寄与
  10. 真実を正しく国民に伝えるメディアの正道を求める
  11. 百年の大計を図る人材を育てる教育を目指す
  12. 外国人の公務員就職への規制条項を設ける
  13. 「慰安婦」問題、「徴用工」問題、南京「虐殺事件」などの歴史認識の誤謬を糺す
  14. 中国共産党の打倒を目指す、中国の民主化運動に協力し連帯する
那覇市議会で中国人権状況意見書が全会一致採択

 【那覇発】三月二十五日の「大紀元時報」によると、沖縄県那覇市議会は同月二十二日、中国共産党政権によるチベット・ウイグル人弾圧に懸念を示し、日本政府と国会に調査と抗議を求める意見書を全会一致で可決した。
 那覇市の大山たかお議員(自民)は大紀元の取材に対し、意見書を全会一致で可決したことの意義は大きいと話した。「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」と題された那覇市の意見書は、多くの国々が中国の人権状況に「重大な懸念」を示していると指摘。また、ウイグル人女性が、新疆ウイグル自治区の収容施設で組織的な性的暴行が行われていることを報道機関に証言したことを取り上げた。
 意見書はまた、中国の人権問題に対する政府の対応は「到底容認できるものではない」と強く批判し、「日本政府として調査し、各種問題があった場合は、様々な手法を用いて厳重に抗議」するよう求めている。
 大山議員は大紀元に対し、「この問題は日本国民全員の課題として取り組まなければならない。全会一致だからこそ意義がある」と強調。自民党ばかりでなく、公明党、共産党など全党派を巻き込んでの採択であることから「今後、日本中でこのような流れができるかもしれない」と述べた。
 ウイグル問題での地方自治体による国への意見書は、先の兵庫県議会によるものに次ぎ二例目となった。
 採択の発議は大山議員を中心に自民党が主体となって行われた。全会一致となったのは、共産党が中国共産党(CCP) とは近親憎悪で仲が悪いことを煽り、公明党に対しては人権問題を重視する同党の体質をうまく突いたためだ。
 沖縄は知事がオール沖縄などといっていることからも分かるように、きわめて野党色が強い。というより、CCPが自国領を主張するほど、さまざまなレベルでの侵略工作が進む危険地帯だ。基地反対闘争ばかりでなく、全レベルでの選挙でもCCPの浸透度はすさまじいものがある。
 このため、国土安全上の立場から次回市議選(七月十一日投開票予定)の動向が早くから注目されているが、このたびの反CCP決議ともいえる全会一致の成果は、やり方次第で選挙結果にも良い影響を及ぼすのではないか、との期待を高めている。